sign ナイフの柄が指先から離れる。その瞬間、バチバチッて火花が見えた。コレ絶対にうまくいく。ナイフ投げでも、空中ブランコでも、なんでも。うまくいくときは、今みたいに火花が見えたり、ビリビリって電気の糸みたいなのが見える。
澄んだ青にうっとりしていると、的に吊るしてあったリンゴが真っ二つに割れた。近くで練習していたジャグラーが口笛を吹いて、サルが落ちたリンゴを拾って食べる。
「調子良さそうだね〜本番もよろしく」
団長に頭をぽんぽんと叩かれて、私はニカッと笑い返した。ほっぺたを持ち上げると、フェイスペイントの雫が目尻にくっつきそう。この人に褒められて、私は嬉しいのかな、それとも悲しいのかな。
「そうそう、今日の的はトクベツになるかもね」
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