アパートの玄関前に大きな段ボールを降ろす。
駅前のモールから歩いて十分ほど。重たい荷物を運んだせいでひたいに汗がにじんでいる。シングル布団六点セットの入った段ボールだ。交代しながら運んでくれる堀田がいなければ、さらに骨が折れただろう。
「へえ。新しくていいアパートだね、みっちゃん」
広くもない学生用のワンルームだが、家具も家電もない部屋の中はがらんとしていて、大きな男がふたりいてもさほど圧迫感はない。
「おう、あんがとな。重てえ買い物つきあわせて悪かったわ」
「そんなこと気にすんなって」
壁ぎわに布団の段ボールを置く。おなじくモールで買ったばかりのあれこれが入ったドラッグストアの袋も並べて置いておく。もうしばらくすれば実家から時間指定をして送った荷物も届くはずだ。
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