狂い咲く花は風を乱吹く4「…おい、なんでテメェも追いかけてくるビーマセーナ」
「あ“?お前が敵の罠にかかって自滅しねぇようについてきてやってんだろうが」
ヴリコーダラは自分の追跡者のビーマに冷たい声色で話しかけた。
「マスターを置きざりにしていいのか」
「マスターを最初に置き去りにした奴に言われる筋合いはねぇ。それにマスターにはあのトンチキ王子がいるから、大丈夫だろう。一応やる時はやるからな、あのクソ野郎」
「……」
傲慢にドゥリーヨダナを小馬鹿にする、自分と同じ顔のビーマにヴリコーダラ見てられなくなり、視線を前に戻す。そしてスゥと息を吸うとカッと目を開けた。
ゴオオオオオオ
再びヴリコーダラは巨大な暗い紫の毛並みをした狼に変化すると、先ほどの倍の速度で爆走した。
「あ!おい!!…チッ」
ビーマは魔力を集中すると、第三臨の姿に変身すると、己も進むスピードを上げようとした。
しかし、突然の懐かしい花の匂いにビーマは足を止めた。
「…?」
その匂いにまた会えるとは思わず、ビーマは進む方向を変えてしまったのだ
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「全く!ビーマのアポンタンめッ!!!マスターを置き去りにするなどッ!!あれでも英雄か!?馬鹿か!??あーそいえば馬鹿だったわアイツ!」
「ドゥリーヨダナ、落ち着いて」
大きく地団駄を踏むドゥリーヨダナを宥めようとするマスター。
「…というか本当にヨダナって、ビーマに厳しいよね」
「べ…」
マスターの言葉にドゥリーヨダナは一瞬固まる。しかしスンと冷静さを取り戻すとヨダナは大人しくなった。
「別に…アイツのことなんか」
何やら子供のように拗ねてる巨体の男に声をかけようとした藤丸に
「ヨォ、久しぶりだな、スヨーダナ」
突如現れた第三者にドゥリーヨダナは急いでマスターを庇うかのように前に出る。すると
「………シャクニ叔父」