狂い咲く花は風を乱吹く21「マスター!援軍到着しました!!」
「ヨハンナ!みんな!!」
新たに呼ばれたヨハンナ、微姉妹、モリアーティ、クリームヒルト、そしてシェイクスピア。マスターと合流すると、状況を把握する為に一斉に件の獣を確認した。
「…マスター、少し良いかネ」
モリアーティはマスターに進言する。何事かと藤丸は男の言葉に耳を貸すと
「そこにいる風神の神子殿、悪いが今すぐにカルデアに帰還した方がいいと思うヨ」
「…は?」
「え」
教授の言葉に一同の空気は凍った。
また彼の悪巧みの一つかと、顔を確認したが、まるでビーマを見透かすような鋭い視線に藤丸は彼は本当に進言しているのだと知る。
「……理由を、聞いてもいい?」
「フ、レディ・ダヴィンチ。今すぐ彼の霊基の解析をしてくれるかネ」
『え。良いけど…』
数分、ビーマの霊基を調べ静かだったダヴィンチが突然大きな声を出した。
『アライメントが変わってる?!』
「え?」
本来、ビーマのアライメントは秩序・善の筈だ。
『混沌・善に変わってる?これはどういう事だ?…あー、でも通りで先ほどからビーマがマスターを置き去りにしたり、普段ならあり得ない事をしてたな』
管制室でのダヴィンチの言葉にアルジュナは心配そうに兄を見ていた。
「一体どういう事…?」
藤丸はダヴィンチに問う
『先輩…アライメントというのは所謂、人間性を示す評価軸です』
マシュは説明した。
アライメントとは人間性を表す、評価軸。評価と言っても道徳的アライメントとの結果には正解も間違いも良し悪しもなく、その者はどういう趣向になるかを分析する。
秩序は社会での法、規律や定義された常識を重視する者。
混沌は個の感情が最優先であり、行動原理である者。
「敵勢力にはサーヴァント達のアライメントを変える能力がいるらしい。これはオルタ化と似て非なる能力だネ。」
「……」
「そんな「洗脳」され、自分の行動原理が普段じゃない彼を、このミッションに加えるのはどうかなと思うんだよネ」
「…お、俺は」
ビーマは口論しようと口を開けるが
「そもそも…誰のせいで「彼」が消えたのカナ?」
「ッ!!」
「…今の彼はとても危険で、論理的思考にかけている。これから私達はビーストという非常に危険な存在と戦うんだヨ?彼の軽率な行動で、全滅という可能性もありだ。」
モリアーティの言葉にマスターもダヴィンチも言葉を失った。
「…まぁそれだけではないんだけどね?…大英雄殿、君は「ドゥリーヨダナ」という存在をどう思っていたのかナ?」
「どう…って…」
アイツは
宿敵、仇、生前の敵、家族に危害を加える存在、わがまま、イ●●イ、ス●、初●、幼い頃に初めてできた●●、第二の生では●●くなりたかっ
「あー、もういいよ。君のその態度で把握できた。…はぁ、本当に残念だ(新たな危険分子を確認してしまった)」
「?どういうことだ…」
「マスター、君はトラオムでの出来事を覚えてるかネ?」
「…!」
その特異点で、カルデアは大切な仲間、大名探偵シャーロックホームズを亡くした。しかし皮肉にもそのお陰で藤丸は異星の使徒であったルーラーであるモリー、
アーティに勝利できたのだ。
「大英雄ビーマセーナ。君がドゥリーヨダナの宿敵であると認めている以上、君の英雄さは彼の存在と紐ずいてるのだよ。
その宿敵がいなくなり、君の中の行動道徳の原理が事で、君はこれから英雄さを力を失う」
「…俺、は…」
「つまりは君はこの作戦では「足手まとい」だ。さっさと帰る事を推奨しよう。」
「………イやダ…っ」
嗚呼
もしここに兄貴が居てくれたら、俺を正してくれただろうか?
カルデア管制室から警音が鳴り響く。
「こ、この反応は?!嘘だろオイ!!」
「第二の獣の反応です…!!」