誕生日というものにあまり頓着がない。
境遇もあるだろうけど、楽しい思い出がピンとしないし、祝われてもあくまでそれまで。特別な日、と言われてもそこまで俺にとっては印象深くない。
歳を重ねても、あぁまた死に近づいたな、と思うだけだ。
人に祝われることはある。だけど、はっきり言うとどんな反応をすればいいかわからない。素直に喜べばいいんだろう。けれど、俺を本当に産んでくれた人はわからない。俺の努力ではなく、その人が頑張って俺を産んでくれたのだから、本来感謝すべきなのはその人である。
そして今年もその日を迎える。
「…はは、すげぇ」
時計の針が真上を指す頃。ぽこんぽこん、と軽快な音を立てながらスマホが光る。画面を見れば、おめでとうのメッセージで埋まっている。
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