目玉オヤジと鬼太郎を育てる水木な父水【未完】「待て!早まるでない!ワシじゃ!ワシじゃよ!!」
「悪いな、生憎俺に目玉の知り合いはいねぇんだよ」
「待てと言うに!!ほんに手が早い所は変わっておらんのう!?」
「そこに直れ、なかったことにしてやらぁ」
土砂降りの夜に墓場で土から這い出て来た赤子を拾う、という稀有な体験をしたのが数日前。恐らく水木の人生の中でこの奇妙な体験を塗り替える出来事はもう起こらないだろう、と。そう感じていた自分の予想を易々と塗り替えた目の前の存在に、水木は淡々と告げながらハエ叩きを構え直す。
事のあらましを話そう。夕飯を作っている後ろでキャッキャと笑う我が子を微笑ましく思いながら振り返ると、我が子の横に目玉が居たため無かった事にしようとした。以上だ。育てて数日だが確実に父性が芽生えつつある水木は、我が子を守るべく武器になりそうなハエ叩きを装備した次第である。もしこの家に三八式歩兵銃があったら迷いなくそちらを選択していたところだ。
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