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    ゴンサン=カッショクスキー

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    オシュロル いのち
    毎回スクショ貼り付けないで小説設定にすりゃあいいんじゃんっていう
    エルヘイム行く前までで想定してます

     ロルフが黙祷していた。あれ、今日はこいつ動物を狩っていなかったはずだけどなあとオーシュは密かに気になった。というのも、以前オーシュが鶏に変化した時のことだ。しれっとロルフが夕食に鶏を出してきたので気分が悪いだろうと突っかかったことがあった。その時に命をいただくことを意識するのは悪いことじゃないとロルフは言ったのだ。
    「お前は鶏になって、鶏の命の重みを感じるようになった。だが残してしまっては命をいただいてしまった鶏に申し訳がない。だからきちんと感謝して食べるんだ。どうしても後味が悪いなら祈ればいい。それが鶏への礼儀だ」
     いただきます。ごちそうさまでした。ロルフが毎度律儀にやっていることもその一つだと言う。オーシュは言われた通りにきちんと食べ、供養塔がないので天幕で静かに祈ってはみたが、しばらくは胃の中のものに不快感を感じずにはいられなかった。(吐いたら鶏に悪いよな)と左向きに寝転ぶことで胃の不快感が収まるのを待った。寝れる気にはしばらくなれなかったのを覚えている。
    「お前、今日は狩りをしていないだろ。何に対して祈っていたの」
     ロルフの赤い目が開いたタイミングでオーシュは声をかけた。同じ天幕だからか、気を遣わなくていい相手だからか、ちょっと個人的な事情にも踏み入りやすかった。
    「今日戦闘があったろう、そいつらのぶんだ」
    「敵じゃないか」
    「どんな奴だって同じ命だ」
    「そうかな、薄汚い欲を持った連中だよ」
    「だが俺が矢を射ったことに変わりはない」
    「よく割り切れるね」
     ロルフがちらりとオーシュを見た。その瞳に背筋が少しぞっとした。オーシュが固まったのを見てロルフは視線をそらし、深いため息をついた。
    「…俺は民の平和を願い解放軍で戦ってはいるが、己の目的のため立ちはだかる者の命を奪うという点だけを見れば、金品を奪うために民の命を奪う賊と変わらん。何ならゼノイラとも一緒だろう。踏み違えないためにも奪った命に礼を払うことは必要だと思っている」
    「何を踏み違えるんだ」
    「お前は賢いから分かるだろう」
     再びロルフがオーシュを見る。今度の瞳は怖くなかった。ロルフの矢のように真っ直ぐな目だった。
    「…偉いね、お前は」
    「…褒められるようなことじゃない」
    「そう?だってもし初めて会った時お前が僕の心臓や頭を貫いていたら祈ってくれたんだろう?」
    「なんだ、まだ怒っているのか」
    「違うけど、忘れろよ」
     当時ゼノイラの将だったオーシュの袖をロルフの矢が貫いた時、勢いと驚いたことでひっくり返ったオーシュは恐怖とパニックのせいで解放軍の前で粗相をしてしまった。幸い遺跡が薄暗いのとローブでほとんど隠れていたとはいえ、色んな人に見られてしまったし、しばらく毎朝布団を汚していないか心配もした。
    「まだ俺が苦手か?」
    「苦手だったら同じ天幕にいないよ」
    「そうか、よかった」
    「いつか仕返ししてやろうとは思っているけどね」
    「この歳で漏らすのはきついな」
    「僕だってそうだよ」
    「それもそうだ」
     フッとロルフが笑う。その口をちゅっと軽くオーシュが吸うとロルフは照れ臭そうにしながらも離れたオーシュの頭を撫でた。避けようと思えば容易いくせに、きちんと目を閉じて受け入れるあたり色々許されているなとオーシュは思う。
    「じゃあ俺はもう寝るから、お前も夜更かしをしすぎるなよ」
    「わかってるよ」
     ロルフが眠った後魔術書を開いてふとオーシュは思い至る。そういえばゼノイラに属していた時に命を落とした部下に祈ったことなんてなかった。金で雇っただけとはいえ、鶏に祈って混乱した自分のめちゃくちゃ指揮で死んでいった部下に祈らないのは失礼な話ではないか。手を組みオーシュは目を閉じて、顔を思い出せない者もいることに気づいた。
    (まったく…)
     母さんの眠りを祈る時と同じように祈ってやるんだから、安らかに眠ってくれよ。などと思いながらオーシュは祈る。後ろめたさのようなものが初めて出てきて、居心地が悪くなって、オーシュは魔術書を片付けるとロルフのベッドに潜り込み暖かい体を抱きしめて眠った。正義だの何だの、オーシュにとってそれは最優先事項ではない。けれど少しばかり平和のために進める真っ直ぐさが羨ましく思えた。
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