凪楓今夜も俺は花を持って寮に戻る。毎日全部配れ切れるわけじゃない。受け取ってもらえないことだってすごく多い。から、これはしょうがないことだ、と自分に言い聞かせながら。
昔だったら花を配りきるまでは帰らない、と決めていたけど今は花を持って帰ってもきっと大丈夫、と思えるようになっていた。それはきっと、あの人のおかげ。
「あっ凪くん!おかえり!」
主任が俺に気づいてぱたぱたと駆け寄ってきてくれた。
「ごめん、今日花配りきれなくて。よかったら受け取ってくれると嬉しい」
俺は少し緊張しながら抱えていた花を渡す。
主任は嬉しそうにぱあっと笑顔を咲かせて受け取ってくれた。
「わあ、嬉しい!」
「花、そんなに好きなんだっけ」
「違うよ!!配りきれないくらい凪くんに今日いいことがあったってことでしょ?それがすごく嬉しい!」
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