公平であれ。論理的であれ。幼体成熟(こども)だと侮られるならばなおのこと、ことさらに、そうでなければと思う。規律を守り、国家の益となることが大人として在るべき姿だというのならば、そうでなければ。
「ボルカはまじめだねぇ」
そのような一心で昇格試験の勉強に励んでいた若き日のボルカに向かって、ナルコは揶揄うように笑いかけたものだった。
「別に無理して大人になることないじゃん 」
「……無理は、してないぞ。べつに」
求められる姿を体現すること、それを評価されることは存在を認められているようで好ましい。努力でそれが手に入るというなら、無理も苦労も望むところだとも言えようか。
珍しく台所に立ったナルコが出してきた甘い紅茶を並んで飲んだ。
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