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    やばい何かを祀って封じている変な因習の蔓延る村でやっちゃいけないこと全部するデルウハと巻き込まれて酷い目に遭いつつなんとか生き延びる竜野くんのお話、の冒頭のようなもの。続きはお願いします。

    お祭り騒ぎ 落葉高木の自然林、小高い山の一角である。
     日暮の濃い橙の光が木々の隙間から見えており、葉陰は黒々としてあたりは夜のように暗かった。
     
     苔むした岩に囲まれた沢があり、その沢の先に小さな祠と真新しい供物、その沢に並行した道を見つけて2人の男は安堵の息を吐いた。
     
     「最初はどうなるかと思ったけど、これでなんとかなりそうですね」
     「ところで、なんだこれは」
     「祠といって神様を祀る……ええと、祈りを捧げるための祭壇みたいなものです」
     2人は疲れ切っていた。
     ある小さな山の一角、珍しい性質を持つ地衣類のサンプル採集のために来ていた学者の竜野と、彼の知人であるデルウハの2人組である。
     おざなりな相槌を打ちながら、白皙の大男、デルウハが祠に置かれたみかんを手に取り、器用に剥いて食べるのを竜野は見ていなかった。
     地図を広げて今自分のいる場所を確かめていたのだ。
     日が暮れる前に、この祠を管理しているだろう人里へ降りたかった。
     祠の奥にはこちらに背を向けた首のない小さな像があり、供物は奇妙な規則性を持って置かれている。
     竜野がデルウハに地図の読み方を確かめたのち、その祭壇の変化に気がついて、デルウハが荷物からゴミ袋を取り出してみかんの皮を入れるのを見た。
     「……あの、もしかしてここにあったみかんを食べましたか……?」
     「別にいいだろ、誰のもんでもないんだし」
     「ええ〜……いや、そうかもしれないですけど。とりあえずあっちに村落があると思うんです、行ってみましょう」
     ふと、立ち去る前にもう一度祠を見る。
     奥の小さな像、あちらを向いていなかったか?
     先ほどは背中を向けていたはずが、今では女の胸がこちらを向いている。
     「行くぞ、夜になると面倒だ」
     みかんを完食したデルウハに促され、気がかりながらも彼の言うことはもっともだった。
     ええ、と応えながら足を進めた。
     
     
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