同居人 if(同居人げんみ✖️)同居人(ニャルを召喚できたif)
別に、この胡散臭い呪文を唱える必要はなかったのだ。催眠を解く方法は理解できたのだから、余計なリスクを踏むよりも堅実に出れる手段をとった方が明らかに良いだろう。
そう考えた筈だった。だが、どうにも違和感が心臓を撫ぜる。
「先生? どうしたんすか?」
知らずのうちに強張った表情を光晴が覗き込む。その姿を見て尚のこと思考が揺らいだ。これ以上倫理観が無く身の安全も保証されていない空間に光晴を置いておく訳にはいかない。いかないのだが。何か決定的な事を見落としている気がしてならない。
「……光晴、その、ごめんなさい。少し出るのが遅くはなるのだけどこの呪文っていうのを試していいかしら」
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