回顧録あの日、母親の胎から産み落とされたあの日。
疫病が蔓延し、人々の恨み辛み、魑魅魍魎、[[rb:蔓延 > はびこ]]る飢餓、満足に腹を満たすことも出来ず、病に倒れ道端で生き絶える人々。呪いが至る所に巣食う平安時代。
祝福の生を受けて産まれ出た赤子さえ、産まれ出た瞬間生き延びることさえ叶わない事も多い。産み出された子が果たして吉凶と出るかどうかも分からない。子を産み落とした母親の命も絶たれるか存命出来るかどうかの時代。
産み落とされた俺は目の前にもう一つ魂があるのをその輪郭で知覚した。同時に俺にはそういう感覚が在るのだと認識した。母親は産んだ瞬間お産に耐えきれずに生き絶えた。産み落とされた俺達を見て、お産に立ち会った女達が悲鳴をあげた。
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