「くかー」と寝息を立ててお昼寝をする亥清さんを見つけたのは、森の奥深くだった。
普段四人で集まる場所よりさらに奥まったこの一角は、亥清さんのお気に入りのお昼寝スポットらしい。
腕を枕に、少し丸まって眠る彼のまわりにはリスやウサギが集まり、彼らもともにうたた寝している。
ここまで動物に好かれるのは、私たちの中では亥清さんだけだ。やがて大きな獣にまで懐かれてしまうのでは、と少し心配になる。
――それにしても、本当によく眠っていますね。
小動物のいない頭側に、そっと腰を下ろす。
憂いの影もない安らかな寝顔を眺めていると、こちらの心までほどけていく。
外の騒がしさも、賑やかなお兄さんたちの声も、いまは遠い。
耳に届くのは、風に揺れる木々の囁きと小鳥たちの愛らしい声だけだ。
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