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    ariannksr

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    ariannksr

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    おひるねしてる悠をみつけた巳波が悠にキスする話。
    2025記念日の鹿が脳内イメージだけどあんまり関係ない。

    「くかー」と寝息を立ててお昼寝をする亥清さんを見つけたのは、森の奥深くだった。
    普段四人で集まる場所よりさらに奥まったこの一角は、亥清さんのお気に入りのお昼寝スポットらしい。

    腕を枕に、少し丸まって眠る彼のまわりにはリスやウサギが集まり、彼らもともにうたた寝している。
    ここまで動物に好かれるのは、私たちの中では亥清さんだけだ。やがて大きな獣にまで懐かれてしまうのでは、と少し心配になる。

    ――それにしても、本当によく眠っていますね。

    小動物のいない頭側に、そっと腰を下ろす。
    憂いの影もない安らかな寝顔を眺めていると、こちらの心までほどけていく。
    外の騒がしさも、賑やかなお兄さんたちの声も、いまは遠い。
    耳に届くのは、風に揺れる木々の囁きと小鳥たちの愛らしい声だけだ。

    そんな静けさのなか、亥清さんは相も変わらずすやすやと眠り続けている。
    童話のお姫様のように、思わず口づけたくなる寝顔だ。
    あまりにも無防備で、まるで誘っているかのように見えるけれど、彼自身はそんなことを夢にも思っていないだろう。
    木漏れ日が心地よいここが静かで落ち着く――理由は、きっとそれだけの可愛らしいもの。
    だから、今こうして寝ている彼によからぬことをするのはやめておこう。

    ――でも。

    私たちは恋人同士なのだから、このくらいは許されるはず。
    そんな身勝手な言い訳を心の中でしてから、身をかがめて彼に口づけた。
    温かな吐息を含む唇を塞ぐと、鼻腔に彼の匂いが満ちる。
    肩にとまっていた小鳥が慌てて羽ばたいたが、彼が目覚める気配はないし、私も気に留めることはなかった。
    ずっと長く彼のそばにいて、愛を交わしてきたのは私のほうだ。だったら、私のほうが優先されてもよいはず。

    いったん口づけをほどき、今度は向かい合うように身を横たえて、細い腰を抱き寄せながらもう一度口づける。
    彼が目覚めるのはいつになるだろう。
    どこまでしたら、起きてしまうのだろう。
    そんな悪戯心が少しだけ思考の隅を掠めたけれど、さすがそこまで踏み込んでしまったら怒られてしまう気がする。
    だから今は抑えて、続きは彼が目覚めたあとにたっぷり――そう決めておく。

    「今はただ、よい夢を」

    最後にそっと額へ口づけを落とし、私もまぶたを閉じた。
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