巳波のおうちのベッドの上。そこに眠るモンはるは真ん丸の毛玉になっていた。
暖房によってある程度の温度に調整されていても、それでも寒いものは寒い。モンはるはさらなるぬくもりを求めてお昼寝用のブランケットの中にもぞもぞと潜っていく。
巳波と悠の優しいにおいのするお布団の中はあったかくて、安心出来る。
まるで二人に撫でられている時のような安心感がそこにはあって、眠るにはうってつけの場所だった。
「はるぅ……」
悠たちが帰ってくるのはまだかな。
モンはるはそんなことを考えながら眠りにつく。
起きたあとは悠たちにたくさん抱っこしてもらおうと考えながら、すやすやと。
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モンはるが眠ってから少し経った頃。
窓の外では日が傾き部屋の中がオレンジ色に染まっていた。
「モンはる……?」
学校が終わって帰ってきた悠の不思議そうな声が部屋の中に響いたが、モンはるはそれに気が付かないまますぴすぴと眠り続けている。
ベッドの上でちょっとだけ膨らみのあるまんまるなところ。
悠がそこをじっと観察するとほんのわずかにだが上下しているように見えた。
ああなんだ、そこで眠っているのか。
すぐにその結論へと至った悠は静かにカバンを置いてルームウェアに着替える。
そうして布団の端をそろりとめくったあとにこんもりとしているところまで少しずつ近づいた。
起こさないように、静かに。
じわじわと距離を縮め、ようやく目の前と言っていいあたりに辿りつく。
殊更に気をつけて、ゆっくりと布団を持ち上げるとそこには想像通りの姿があった。
コットンも、モンはる自身もすやすやとよく眠っている。
布団の中はそこだけが暖かく、悠の眠気を誘ってきた。
巳波が帰ってくるまでなら、一緒に眠っててもいいかな。
そんなつもりはなかったのにゆっくりと瞼がおちていく。
あたたかくてふわふわとした、自分に似た可愛らしい生き物を抱きしめながら悠もまた穏やかな寝息をたてはじめた。
悠がモンはると共に眠ってしまってから小一時間。
窓の外がすっかり暗くなった頃合いに帰宅した巳波は愛らしい光景を見て微笑んだあとに台所へと向かって夕食の支度をはじめた。
二人がいい匂いにつられて目覚めるまで、あともう少し。