結婚狂想曲(リオヌヴィ)「僕はもう我慢なりません!公爵、すぐにでもヌヴィレット様と結婚なさってください!」
開口一番、耳をつんざかんばかりに執務室に響いたその声に、リオセスリは思わず、米神に当てていた指先をそっと耳元にずらした。
公爵と五分間だけ話がしたい。服役中にコツコツと貯めたそれなりの量の特別許可権を全て叩いてまで懇願されたそんな願いに、その意気や良し、と承諾したのが今から三日前のこと。偶々空いていたスケジュールの隙間にその囚人との面会を差し込み、さあ入ってくれ、よく来たね、とにこやかに迎え入れてみれば、いっそ芝居がかった程に息せき切って駆け込んで来たその男は、まさに、もう我慢がならないとばかりにくだんの言葉をリオセスリに向かって吐き出した。
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