Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    wangai961484

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    wangai961484

    ☆quiet follow

    闇🌟 , 幼少期🌟が出てきて創作セカイも出てきます .
    幻聴や幻覚有 .
    それでも大丈夫な人は どうぞ .ᐟ

    星が出ない夜時刻は17時 。今日は2つのショーをやり遂げ 、全員が満足行く結果になっていた 。最近は観客数も増え 、褒めてくれる人達も沢山居る 。

    「 お疲れ様 、司くん 。」

    観客席に腰をかけていれば 、類が500mlの水のペットボトルを渡してきてくれる 。感謝の言葉を類に言えば 、半分くらいまで一気に飲み干す 。休憩時間は水分など取らず 、ショーの練習をしていたからかすごく喉が渇いていたのだ 。

    「 さて 、解散しようか !!」
    「 そうだね 。」
    「 お疲れ様 ー ! 」
    「 お疲れ 。」

    手を振れば 、全員が家に向かって進んでいく 。俺も家に向かって歩いていれば 、男性の声が聞こえてくる 。

    「 -- なんかさ ー 、最近のワンダーステージめっちゃよくね ?」
    「 -- 分かる 。でもさ 、1人だけ演技が下手な奴居ね ?」
    「 -- 御前酷すぎ 。だけど分かるわ 、彼奴だろ 、天馬司 。」

    冷笑されたのは初めてではなかった 。此処最近 、俺に対する皮肉が耳に入る 。悔しくなり 、唇を噛み締めれば 、人気のない道まで行く 。家に帰る前に練習を 、と思いセカイへ向かう 。最近ではこれが日常だ 。

    「 あ ー っ 、司くんだ ー !」

    セカイに行けば 、このセカイの住人のミクが此方へ駆け寄ってくる 。此処のミクは 、青髪のツインテールで 、猫耳のような耳が生えている 。元気な性格で 、明るい性格だ 。

    「 お疲れ様 。今日の公演はどうだった ? 」

    そのミクの後を追うようにセカイの住人 、 カイトも此方へ歩いてくる 。此処のカイトは普通のカイトと変わらず 、青髪だった 。

    「 上手く行ったぞ !! 」

    ふふん 、と満足気に話す 。決して自分の想いは悟られないように 。未来のスターならばあれくらい受け止めないと行けないのだ 。

    「 それなら良かった 。」
    「 あれれ ー ?司くん唇から血出ちゃってるよ ー ?」

    あの時強く噛み締め過ぎたか 。あまり心配かけないように 、切ってしまったのだ 、と言い訳し 、会話を終わらせる 。ミク達から離れれば 、次のショーに向け練習を始める 。

    「 ... 俺も落ちたな ... 。」

    だが 、今日だけは集中出来ず 、弱音を零す 。明るいこのセカイが何故か不愉快に思ってしまう 。俺がずっと此処に居れば 、輝けるのだろうか 。駄目だ 、俺は
    ワンダーステージのショーキャスト 。客の意見から逃げる訳には行かない 。気合いを入れ直せば 、20時頃まで練習を 。

    「 ... 、帰らなければ ... 。」

    もっと練習をしなければ行けないのに 、家族に心配させる訳にも行かない為 、帰らなければいけない 。
    家に帰れば 、いつも元気な咲希が出迎えてくれる 。もう晩食は出来てるらしく 、皆でご飯を食べれば 、自室へ戻る 。全てやる事を終わらせれば 、台本を手に取り 、台本を読む 。

    「 ... 集中出来ないな ... 。」

    いつもから集中出来るはずなのに今日は集中出来ず 、台本を1回置く 。どうしたものか 、と考えればセカイへ再び足を向ける 。

    「 ... 司くん ? 」
    「 おぉ 、カイトではないか ! 」
    「 こんなに時間にどうしたんだい ? 」
    「 少し練習をな 。」

    カイトから離れれば 、台本を手に取り 、練習を始める 。練習して何時間経っただろうか 。少し休憩する次いでに 、ワンダーステージについてのネットの書き込みを見る 。

    " 面白かった ー ! "
    " 天馬司の演技力落ちたくね ? "
    " 歌姫の寧々ちゃんの衣装可愛かった ~ っ"
    "今回の演出も凄かったけど ... 天馬司がな ... "

    俺への誹謗中傷が目立つ中 、他の3人は評価されていく 。喜ばしい筈なのに 、悔しく思ってしまう 。

    「 最低だな 、俺は ... 。」

    気分が沈む 。だが 、俺に休んでる暇などない 。また台本に手を伸ばし 、演技の練習を始める 。

    ショーの練習がない日は 、セカイで1日練習を 。ショーの練習がある日は夜から練習を 。睡眠時間を削り 、何ヶ月が経っただろうか 。


    「 司くん 。」

    学校の放課後 、今日はショーの練習がない為 、セカイで練習しようと人気がない所に行こうとすれば 、類に止められる 。

    「 なんだ ? 」

    いつもより 、真剣な眼差しのような気がして 、何かあっただろうか 。と心配に思う反面 、さっさと用を済ませて欲しいなどと最低な事を思ってしまう 。

    「 カイトさんかは聞いたよ 。君 、練習がない日は1日セカイで練習して練習ある日は夜セカイで練習してるんだって ?」

    類は怒ってるような 、心配してるようなそんな目をしていた 。だが 、何故言われなければ行けないのか 。俺はただ練習をしてるだけだ 。

    「 そうだが ... 何か問題か ? 」
    「 問題だよ 。えむくんが咲希くんから聞いたと言っていたよ 。家の滞在時間が少ないとね 。」

    家からセカイに行く分には全然いいが 、長時間セカイの方に居れば 、心配をかけてしまうと思った為 、外に出てからセカイに行くようにしているのだ 。1日に家の滞在時間は4時間も無いほど 。だが 、其れに何の問題があるのだろうか 。

    「 それがどうした ? 」
    「 司くん寝ていないだろう 。隈が酷いよ 。」

    しくじった 。スターならばちゃんとしてないと行けないのに 。化粧品などで隈は隠そう 、と思い後で店に行こうと考えるが 、オレは化粧品が売っている店に詳しくない 。誰かに教えてもらおうか 、と考えれば身内で詳しい人を探しつつ 、そろそろ会話を終わらそうとして 。

    「 類の言いたい事がよく分からないのだが ... 」
    「 ... 僕が言いたいのは " 休め " それだけだよ 。」

    休め 、その言葉は俺が1番嫌う言葉だ 。しかも評価されてる類に言われたくない 。俺がどれほど否定されてどれほどお前らに追いつこうとしてるのか分かっているのだろうか 。

    「 無理だ 。俺には休息時間などない 。すまないが 、俺は先に帰るぞ 。」

    ほぼ生徒が居ない学校は静まり返っていた 。類の手を振り払えば 、俺は教室殻出て 、店で隈を隠すための化粧品をネットで調べて買い 、またセカイへと向かう。だが 、何故だろうか 、セカイが少し暗いような 、そんな気がした 。まぁ 、明るくない分にはいいか 、と流せば 、ミク達に会わないように奥の方へ向かえば練習を始める 。

    " 練習して意味あるのかい ? "
    「 類 ? 」

    類の声が聞こえ 、振り向けば 、類の姿はそこにはない 。だが確かに聞こえた今の声 。何が起こっているのだろうか 。理解出来ずに居ると 、もう1度その声が聞こえてくる 。

    "君はスターになどなれない 。そう前も言っただろう 。"
    「 ... 誰だ 、何故此処に居る 。」
    "酷いな 、僕だよ 。神代類 。君の演出家 。"

    類では無い 。だって姿が見えない殻 。だが声は類の声だ 。混乱して居るともう1度類の声が聞こえてくる 。

    "どうせ君は否定しかされないんだ 。楢練習しても意味がないだろう 。"
    「 ッ ... 五月蝿いぞ .. !! 」

    耳を塞ぎ 、声を荒らげる 。何処から聞こえてくるのか分からないこの声 。類なのだろうか 、類が隠れて言っているのだろうか 。嫌だ 、信じたくない 。

    "簡単に耳を塞ぐなんてほんとにスターなの ?"
    "スターならちゃんと意見聞かないと ー !"

    次は寧々とえむの声 。どうして皆俺を否定するのだろうか 。皆今まで一緒にショーをして来た仲間じゃないか 。ずっと俺の事を見下してたって事なのだろうか 。嫌だ 、3人にまで否定されたら俺はショーなんか出来なくなってしまう 。頼むから 、頼むから静かにしててくれ 。

    「 司くん ? 」
    "そうやってミクに心配かけて何がしたい訳 ?"
    「 黙れと言っているだろう .. !! 」
    「 司くん ... ? 」

    言ってしまった 。ミクにはこの声が聞こえてないようだし 、俺がミクに言った言葉としてミクは受け取ってしまうだろう 。ミクに謝ろうにもこの声の亊を話せば心配をかける 。それが分かってる楢言わない方がいい 。ミクに謝れば 、一旦セカイから去る 。

    「 ... とことん最低だ 。」
    "ミクちゃん可哀想 。"
    "私たちのミク悲しませないでよね 。"
    "はぁ 、呆れるね 。"

    3人の声が交互に飛び交い 、耳を塞いだ儘その場で座り込む 。もう何も聞きたくない 。何処から聞こえる声なのだろうか 。之が類達の本音だったらと考えれば頭がぐるぐるする 。頭が真っ白になり何も考えられないでいれば 、声が聞こえてくる 。

    「 司先輩 ? 」
    「 何してんすか 、こんな所で 。」
    「 ... 冬弥 ... と彰人 ... ? 」

    路地裏だから誰にも見つからない 、そう思っていたのにこの2人は俺を見つけてくる 。話を聞けば練習帰りだという 。時刻は22時を回っている 。こんな時間まで練習してるのか 、健康に気を使わないと駄目だぞと言おうと思ったがそれを今オレが言える立場ではない事が分かり 、口を閉ざす 。

    「 顔色が悪いです 。体調が悪いんですか ? 」
    「 嫌 、大丈夫だ 。すまないな ... 。」
    "後輩に迄心配かけさせるとは ... 。"
    "先輩としての意識ちゃんとしないとダメだよ 。"

    五月蝿い 、黙ってろ 。後輩の前で弱みを見せる訳には行かないんだ 。『 元気な天馬司 』を演じなければ行けない 。

    「 ... 冬弥 、此奴どっかで休ませた方がいい 。多分無理してる 。」
    「 あぁそうだな 。司先輩 、近くにベンチがあります 。そこで休みましょう 。」
    「 嫌 ... 本当に大丈夫だ 。」
    「 大丈夫じゃねぇって俺らが判断してるんです 。大人しく着いてきて下さい 。」

    彰人に腕を引っ張られれば 、人が少ない公園に連れてこられる 。ベンチがある所は日陰で 、そこに座らせられれば 、まだ聞こえる声に不愉快感乎覚えるが 、頑張って耐え続ける 。

    「 彰人もう少し優しく連れてきてあげた方が ... 。」
    「 大丈夫だって 。司センパイ 、そんなやわじゃねぇだろ 。」
    「 それはそうだが ... 。」
    「 はは 、大丈夫だぞ 、冬弥 。」
    「 司先輩が大丈夫楢良かったです 。」
    “ これじゃあスターになんてなれないよぉ ~ ... 。 ”
    “ ちゃんと演じられない司は要らないんだけど 。 ”
    「 っ ... 。」

    眉を潜めれば冬弥が心配そうに此方を見詰めてくる 。耐えなければ 。後輩の前なのだから 。だが頭痛がし上手く笑顔を貼り付けられない 。2人に謝罪の言葉と感謝の言葉を伝えれば 、家に帰るフリをしてまた人通りが少ない所へ行きセカイへと向かう 。

    「 ミク ... カイト ... 。」
    「 ワ ... ツカサくん ... ? 」
    「 タイヘンだ ... ! ミクちゃん達を呼びに行かナクチャ !!」

    ぬいぐるみ達に囲まれ 、その場で耳を塞ぎ蹲るような形で座り込んでしまう 。聞きたくない声が耳に入ってくれば眉を潜め顔を歪める 。類達の声岳だからまだいいものの姿など見えてしまったらもうどうしよもない 。

    「 司くん !」
    「 司くん ー ! 」
    「 ミ ... ク ... カイト ... 。」
    「 大丈夫かい ? 司くん 。」
    「 顔真っ青だよ ~ ... 。」
    「 … ッ 、た ... 。」

    助けて 。たったの3文字なのに喉に何か詰まってるようで言葉が出ない 。げほげほとむせ込むように咳をすれば 、カイトが背中を摩ってくれる 。ミクは心配そうに顔を覗き込むように此方を見ている 。なんて失態だ 。スターたるものこのくらい耐えなければ行けないのに 。

    「 ... すまない 、取り乱したな ! 」

    数分後 、やっと落ち着けば 、もう声もしなくなっていた 。元気そうに振る舞うも 、ミクとカイトの目は誤魔化せはしなかった 。無理をしないで 。そう2人に言われてしまえばオレはもう演じる事など出来なくなっていた 。

    「 ... スターたるものこれくらいで ... 。」
    「 スターだって疲れる時もあるよ ! ね 、カイト !」
    「 あぁ 、勿論さ 。... 司くん 、何があったか教えて貰えるかい ? 」
    「 ... 無理なお願いだ 。此方から弱みを見せるなど ... 。」
    「 司くん ! 私達は司くんのバーチャル・シンガー 。辛い時はミク達を頼って ! ... あのね 、ミク司くんにあの言葉言われた瞬間司くんが心配だったんだ 。」
    「 あの時はすまなかった ... 。」
    「 大丈夫だよ ! だってミク 、そのお陰で司くんの違和感に気付けたから 。... よく聞いて 、司くん 。今まぇなかった音 、ピアノの音が聞こえてくるの 。とても苦しくて 、悲しそうで 、もがいてるみたいな音 。」

    耳をすませば 、確かにピアノの音が聞こえた 。どんな音かは分からないが 、ミクがそう言う楢そうなのだろう 。このセカイはオレのだ 。だからこの音は今のオレから出来たものと言っても過言ではない 。

    「 司くん 。大丈夫だよ 、僕達は君の味方さ 。」
    「 ... オレは ... もう舞台の上になど立ちたくない ... 。」

    此処最近ずっと思っていた事を口に出してしまえば 、涙が溢れだしてくる 。このセカイからは遊園地の音は消え 、ピアノの音だけになっていた 。ぬいぐるみ達も全員魂が抜き取られたようにその場に落ちて動かない 。其れに時が止まっているように観覧車なども動いていない 。これがオレの想いなのか 、今のこれが 。

    「 ぁ ... ぁ ... 。」
    「 司くん落ち着いて 。ミク 。」
    「 うん 。行こう 、司くん 。休める場所に 。」

    ミクから元気な声色は消え 、暖かいだけの声色になった 。それが酷くオレの心を満たしてくれた 。煩くない 、ただ寄り添ってくれる人たちがいるこのセカイに 。
    ミクに連れてこられたのはテントの中 。ステージも照明は落ちていて 、光が入る事はない 。舞台の上に登れば 、オレはその場で崩れ落ちる 。何故ずっと忘れていたのだろうか 。オレはずっとこの役だったのに 。涙を流せば 、膝をつき 、涙を拭いながら泣き叫ぶ 。そんなオレの近くでミクは寄り添ってくれていた 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「 類くん ! 」
    「 おや 、カイトさん 。どうかしましたか ? 」
    「 時間が無い 、司裙を助けてあげてくれ 。あのままじゃ司くんは ... 。」
    「 司くんに何かあったのかい !? 」

    カイトさんは必死に説明してくれる 。だがカイトさんの言う タイムリミット が近ずいてるらしく 、詳細までは説明してくれないが 。僕はカイトさんが携帯の画面から消えた後寧々とえむくんに連絡し 、ざっと説明した後セカイで集合することに 。


    「 なんだい ... 此処は ... 。」
    「 ぞわぞわ ~ ッ てするね ... 。」
    「 … あぁ 、来たんだね 。」

    声のする方向を見ればカイトさんが居た 。だが 、僕らの知っている暖かい表情をするカイトさんではなく 、冷たく 、僕らを警戒しているようなそんな目をしていた 。

    「 カイト ... さん ... ? 」
    「 何の為に来たかは知らないけど早くこのセカイから去った方がいいよ 。」
    「 待ってカイトさん ... !どういう事 ... ?」
    「 カイトお兄さんいつもみたいにきらきらしてないよ ... 。」
    「 ... タイムリミット ... ?」
    「 どういう事 、類 。」

    話してる時間などない事は分かっているが 、之は説明しないといけない様な気がした 。カイトさんが言っていたタイムリミット 。それはセカイが崩壊 、変形するまでの時間ということ 。もしかしたら僕達は二度とこのセカイに入れなくなるかもしれないと言うこともつけ足して 。

    「 司くんが僕達を拒否すれば ... 、の話だけどね 。」
    「 司がそんなことするわけ ─ 」
    「 どうしてそう言い切れるんだい ? 司くんはずっと君達のせいで苦しんでるとしたら ... 拒否するのも時間の問題だよ 。」
    「 ... カイトお兄さん何か知ってるの ? 」
    「 ... さぁね 。」

    カイトさんは曖昧に答え目線を逸らすが多分何か知っているのだろう 。もしも 、本当に僕達が知らない所で僕達が傷付けてしまっていたら 。何も思い付かない 。司裙の異常について分かったのは此処最近だし 、悩みも聞いていない 。

    「 ... こんなピアノの音あったっけ ? 」
    「 何かしょぼーん 、ぎゅーぎゅー 、がりがりひゅ 、な音みたい 。」
    「 ねぇ 、司の居場所って ... 。」
    「 カイトさ ... え ? 」

    先程まで傍で立っていたカイトさんの姿はもう見えず 、全員が頭はてなになる 。カイトさんが司くんの場所に行ったのなら僕達も行かなければ 。カイトさんが行ったのに理由があるとすれば 。

    「 ... 探そうか 、司くんを 。」
    「 うん ! 」
    「 そうだね 。 」

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    数時間後 、最後の場所テントの目の前まで来る 。此処に居なければ僕達はもう探すことは不可能だ 。テントの中に入れば 、ちゃんと司くんは居た 、が 。

    「 ... あれ 、随分と探し回ったようだね 。」
    「 ぁ ... 何 ... で ... 。あぁぁ " ッ 、嫌だ 、嫌だっ ... !!」
    「 落ち着いて 、司くん 。大丈夫 、司くんはミク達が守るから 。」

    ミクくんは守るように司くんを抱き締めているし 、カイトさんは司くんを安心させるように頭を撫でている 。司くんは僕達が知らない弱々しい姿で怯えていた 。其れに僕達の方を見てからだろう 、怯えたのは 。何かしてしまっただろうか 、そんな事を黙々と考えている内に客席が減っていってる事に気がつく 。

    「 ... 司 ! 」

    寧々も其れに気付いたのだろう 。慌てた様子でズカズカと舞台に近付いていく 。寧々が近付くにつれ 、司裙の苦しそうな叫びが響き渡る 。止めた方がいいのだろうか 、そんな事を考えていればもうえむくんが先に止めていた 。

    「 駄目だよ ! 寧々ちゃん ! 」
    「 でも ... !」
    「 ... 寧々 。落ち着こう 。多分司くんが怯えてる原因は僕ら 。だったらあまり近付かないであげた方が今はいい 。」
    「 じゃあこのままセカイの変形を ... 崩壊を見てけって言うの !? 」
    「 静かに 。やっと眠りについたんだ 、起こさないでくれるかな 。」

    舞台では眠っている司くんの姿が 。やっと眠りについた 、と言うことはずっと眠れていなかったのだろう 。何故其処迄して追い詰めたのだろうか 。此処までセカイに変化を齎すまで 、苦しんで 、抱え込んで 。

    「 助け ... て ...くれ 、えむ ... ね ... ね ... る ... ぃ ... 。」
    「 ... ! 」
    「 今のこのセカイに君達は必要ないよ 。出ていってくれるかな 。」

    ミクくんにそう言われてしまえば 、僕達は光に包まれ 、現実世界へと戻ってきてしまった 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    真っ暗な場所で唯1人 。ぽつんと立っている 。何も聞こえない 。進んでも進んでも景色は同じ 。1人じゃこの暗闇を抜け出せない 。

    「 助けてくれ ... 。えむ 、寧々 、類 ... 。」

    3人が居ないと抜け出せないのだ 。居たとしても抜け出せるかは分からないが 、こんなに恐怖心に呑まれずには居られるだろう 。そろそろ限界だと感じたその時 、歌が聞こえた 。高音と低音の声が混じった歌が 。

    ─────── ♪

    其れはオレを安眠へと導いてくれた 。


    「 ん ... 。」
    「 おはよう 、司くん 。」
    「 ... ひ、ゅ ... 、嫌だ ... 嫌だ ... !!」
    「 大丈夫 。此処にはもう3人しか居ないよ 。」
    「 そうだよ 、大丈夫 。ミク達が守るからね 。」

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    僕は一睡も出来ずに翌日を迎えてしまった 。学校に行かなくては 。司くんは来てるだろうか 、来ていなかったら僕は帰るとしよう 。勉強などしてる暇ではないのだから 。
    学校をつけば 、昨晩の事が夢だったかのような司くんが居た 。元気な天馬司が 。

    「 おぉ ! 類ではないか ! おはよう !!」
    「 司くん ... ? 」
    「 どうした ? 寝不足だな !? ちゃんと寝ろと言っているだろう !! 」
    「 ... 」
    「 ... どうしたんだ 、類 。抱き着かれると仕事が出来ないのだが 。話くらいは聞けるぞ 。」
    「 ... 居なくならないでくれ ... 、僕らのスター ... 。」

    抱きつけば 、司裙は僕を離さずに居てくれる 。毎回彼は僕に甘やかしすぎなのだ 。

    「 む 、当たり前だろう ! この天馬司は必ずしもスターとなる ! 」

    いつもの司裙に安堵すれば抱き締めていた手を離して 。昨晩のは悪夢だったのだろうか 。でもあの時セカイに感じた恐怖心は未だに残っている 。もしも夢だったのならば早く忘れたい 。
    昼休み 、司くんを昼食に誘おうと後ろに居るはずの司くんに声をかけようとすれば其処に司くんの姿はなかった 。いつ教室から出ていったのだろうか 。司くんを探しに廊下に出れば 、窓から司くんが帰ってく姿が見えた 。急いで外に出るも 、そこにはもう司くんの姿はなかった 。もしかしたら体調が悪かったのかもしれない 。そう考えるも何か違うような気がして考えていれば昨晩の事を思い出す 。あれが夢じゃなければもしかしたら 。人気のない所に行けば 、セカイはまだ始まってすらいない を再生し 、セカイへ行く 。

    「 ... ! 司くん ! 」

    予想通り 、司裙はセカイに居た 。僕と目を合わせるの何処かに逃げそうになってしまった為咄嗟に腕を掴んでしまう 。

    「 司くん待って ... 、お願い 。」
    「 嫌 ... だ 、やめろ ... ッ !! いい加減類の姿をして現れるな ... !! 」
    「 何を言って ─ 」
    「 カイト ッ 、! 」
    「 司くん !! ... 司くんに何をしたんだい ? 」

    司くんがカイトさんの名前を呼べば司くんの背後から駆けて来るカイトさんの姿が 。司くんをカイトさんが優しく包み込むように抱き締めれば 、僕の手を振り払い警戒してくる 。

    「 僕は何もしていない 。ただ司くんと話そうとしただけさ 。」
    「 ... 司くん 、大丈夫 。もう大丈夫だから ... 。」
    「 嫌だ ... 嫌だ ... 。本物の類がいい ... !! 」
    「 あぁ 、そうだね 。一旦落ち着こうか 。」
    「 類はオレの事を捨てない ... っ 。うるさい 、黙れ ... !! 」
    「 司くん ... ! 大丈夫だから ... 、此処には誰も居ないから ... 。」

    司裙にしか聞こえない声が聞こえているようで 、司くんは耳を塞いでしまう 。カイトさんは必死に落ち着かせようとするも司くんが落ち着く様子は全くない 。先程司くんが言葉にした本物がいいという言葉 。もしも幻覚と幻聴が聞こえてるのであれば僕が今出来る事は唯1つ 。

    「 司くん 。聞こえるかい ? 」

    俯いて顔を隠すように邪魔な前髪 。司裙の前にしゃがめば 、前髪を退け 、ちゃんと僕が見えるようにする 。ちゃんと此処に居る 、そう証明する為に 。幻覚なら司くんには触れられないだろう 。もし少しでも考える余裕があるのならば司くんに触れている僕が本物だと気付くはず 。

    「 る ... ぃ ... 。」
    「 あぁ 、そうさ 。流石だね 、司くん 。すまないね 、急に腕を掴んでしまって驚いただろう 。」
    「 御前 ... 何で此処に ... 。」
    「 少し用事があってね 。」
    「 えむと寧々は ? 」
    「 学校だよ 。」
    「 嫌だ ... 捨てられる ... っ 、やだ ... カイト !! 」
    「 大丈夫 、僕は此処にいるよ 。」

    司くんと話が噛み合わない 。又耳を塞いでしまった司くんに今は多分何を言っても聞いてはくれないだろう 。自分の無力さに苛立ち乍もどうしたら司くんを救えるだろうかと 、考える 。

    「 ごめんね 、司くん 。また来るよ 。その時も又さっきのように少しでも話せたら嬉しいな 。」

    そっと 、怖がらせないように司くんの頭を撫でれば 、セカイはまだ始まってすらいないを止め 、現実世界へと戻ってくる 。
    昼休みが終わるまぇ後少しある 。ベンチに座って色々考えていれば 、顔を覗き込むように後輩2人が視界に入る 。

    「 おや 、青柳くんと東雲くんじゃないか 。どうしたんだい ? 」
    「 司センパイ 、今日は元気でしたか ? 」
    「 昨日センパイと会ったんすけど元気なさそうで此奴ずっと心配してたんですよね 。」
    「 其れはうちの司くんが心配をかけたね 。謝るよ 。... 司くんは元気だよ 。安心して欲しい 。」

    勿論嘘だ 。だが 、司くんは人に弱みを見せるのを嫌う 。特に後輩に 。かっこいい 、頼れる先輩を維持したいのだろう 。だからこそ今の状態を話す訳には行かなかった 。精神をもっと不安定にさせるような事は嫌だから 。2人と色々話してる内に鐘が鳴った 。

    「 おや 、もうそんな時間かい ?」
    「 そうみたいですね 。」
    「 あ ~ 、オレ先に行こ ~ っと 。」
    「 彰人駄目だ 。俺も行く 。」
    「 いいって後から来いよ 。」
    「 サボるだろう 。」
    「 ... お先に ~ 。」
    「 あ 、待て彰人 ! では失礼します 。」

    東雲くんの後を追う青柳くん 。その光景を見ていれば微笑ましく思う 。僕も教室に戻らなくては 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    どれが偽物で本物だかもう分からない 。声も一向に消える気配はないしこのセカイでミク達の近くに居ればいつでも助けてくれる 。ならばずっとこのセカイに居たい 。そう想いながら舞台の上で瞼を閉じると目の前には今までのセカイの景色が広がっていた 。其処には楽しそうにしているオレと仲間が 。

    「 ... っ ... 、思い出したくない ... 。辞めろ ... 、何も見せるな ... 。オレはただ ... 。」

    永眠したいだけなのに 。子供の頃から咲希は入院していて 、両親はオレには構ってくれなかった 。だが高校にあがり仲間と沢山の友達が出来た 。その思い出が寂しさを埋めてくれる 。だからもう満たされた儘で永眠についてしまいたい 。もう 、目を覚ますことがなくなれば辛いことも苦しいことも何かが欠ける事もないのだから 。

    「 ツカサくん 。」
    「 ... 何故 ... 。」
    「 思い出しテ 。司裙は舞台の上に立ちたくないワケじゃなイ 。」
    「 辞めろ ... 。オレは舞台の上に立ちたくないんだ 。もう演じることもない 。此処に居れば満たされたまま ... 。」
    「 ツカサくん ... 。思い出しテ ... 。」

    何故此処にぬいぐるみが居るのだろうか 。ぬいぐるみはもう全員動けなくなってるはずなのにこんなのが浮いて喋っていたらまた思い出してしまうでは無いか 。幸せだったあの頃を 。頑張って乗り越えてきたあの頃を 。

    「 辞めろ ... !! オレの前に現れるな ... !! 嫌だ 、とう嫌なんだ ... 。頼むからもう ... 、楽にしてくれ ... 。」
    「 司くん ! 」
    「 来るな ... !! どうせ偽物だろ 、また言いに来たのか 。何のために ... 、何でオレなんだ ... !! 喋るな 、何も喋るな ... !! 」
    “ 煩いよ 、司裙 。耳壊れちゃう 。スターがそんな声出してたら小さい子達笑顔になる所か泣いちゃうよ ~ 。 ”
    「 司裙 ! 私だよ 、鳳えむ ... ! 贋物なんかじゃない !」
    「 えむチャン ... ! 来てくれたんだネ ... ! 」
    「 うん っ ! 今からみんな来るよ ! 」
    「 もう ... っ 、辞めろ !!! オレに近付くな ! 二度と ... っ 、二度と !! 」
    「 司くん ... っ !駄目だよ 、駄目 !! みんな司裙を ─ 」

    えむが何かを言い切る前にオレの目の前から消えた 。ぬいぐるみもその場に落ちて動けなくなった 。頼むから放っておいてくれ 。オレはもう舞台に立ちたくないんだから他の人と楽しくやっていてくれ 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「 どうして ... 、どうして ... ? 」
    「 えむ ! どうしたの ? 先に行ったんじゃ ... 。」

    神高の裏路地でえむが携帯を持ち崩れ落ちてるのが見えた 。先にセカイに行ってると言っていたえむが何故此処に居るのだろうか 。

    「 セカイに行った 、行ったよ ... 。でも ... 追い出されちゃった ... 司くんに ... 。」
    「 アイツに ... !? 」
    「 おや 、2人とも ? 何故此処に居るんだい? 」
    「 類 。結構司限界になってきてるかも 。」
    「 ... どういう事だい ? 」

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「 っ " ... 黙れ 、黙れ ... !! 」
    “ 折角会いに来たのに追い出すなんて酷い 。 ”
    “ 気にかけてあげてるんだからそれなりの感謝は持ちなさいよね 。 ”
    「 違う 、御前らは彼奴らじゃない ... !! 」

    必死に耳を塞ぐが声は止まらない 。涙を1滴流すと同時にピアノの音がオレの耳に入る 。前よりも激しく 、大きな音のようだった 。さっきまで荒れていた頭の中が整理されていくような 、そんな感覚がする 。

    「 ... ... 、いい音だ ... 。」

    ─ 司先輩 。
    ─ 司センパイ 。
    ─ 司先輩 ~ ♪
    ─ お兄ちゃん ~ !
    ─ 司さん 。
    ─ 司 。
    ─ 司裙 。
         「「 流石未来のスター ! 」」

    「 っ 、やめてくれ ... オレはスターなどなれない ... 。」
    「 ... 司くん 。大丈夫 、ゆっくり目の前を見てみて 。きっと 、見えるよ 。司くんのヒカリが 。」

    耳を塞ぎ 、俯いていたオレの頭を誰かが真っ直ぐ 、前を向かせる 。見たくない 、目の前など 。必死に抵抗してる時 、大丈夫 、と何度も声を掛けてくれるその声は前のミクの声と重なった 。

    『 大丈夫 ! 司くんなら出来るよ ! 後もう少し 。頑張って ! ミクも応援してるよ ! 』
    「 大丈夫 、ゆっくり 。ゆっくりで大丈夫 。」
    「 ミ ... ク ... 。」
    「 うん 。ミクは此処に居る 。大丈夫 。司くんなら 。」

    あの時のミクは元気だった 。皆に元気を与えてくれるような存在 。たがそのミクはもう居ない 。オレが壊してしまった 。忘れたいのに忘れられない 。目を逸らしたいのに逸らせられない 。オレはまたあの景色を見たいのだろうか 。

    「 ... 何してるんだい 、ミク 。」
    「 ... ! カイト ... 。」

    カイトの声が聞こえると同時にミクの手は離された 。オレは直ぐに下を向き 、いつの間に荒くなっていた息を整えようとするも 、全く整う気配がない 。カイトが背中を摩ってくれれば 、少し落ち着いてくる 。そしてカイトが来てくれた安堵でオレは眠りについてしまった 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「 ミク 。」
    「 ... ミクは目の前に向かって歩いてもらおうと思っただけ 。」
    「 無理矢理にかい ? 」
    「 違う 。カイトが1番分かってるはず 、早く見つけ出させてあげなきゃ壊れるって 。」
    「 ... 壊れないように無理させないように保させるのが僕達の役目 。多分ミクが目の前を向かせた事によって無駄な期待を抱いてしまったよ 。その期待が裏切られた時また司くんは苦しんでしまう 。」
    「 無駄じゃない 。きっとあの子達なら ... 答えを 、司くんを見つけ出してくれるから 。」
    「 … そっか 。」

    僕は知らない 。こんなに真っ直ぐ向いているミクの目を 。ミクは知っていた 、司くんを前に向かせる事によって昔の光景が広がる事を 。何処で知ったのだろうか 。何処でもいいが 、無理矢理前を向かせるのには僕は反対だ 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    セカイに入れない僕達は絶望していた 。もう司裙に会えなかったら誰が司くんを救い出すのかと 。ミクくん達は救い出すよりも支える 、という表現の方が近いだろうし 、あのセカイに行けるのは僕達3人だけだった 。

    「 ... っ 、司くん ... 。」
    「 ... 彼奴会ったら1発叩く 。」
    「 ... どうしよう ... 。」

    寧々は怒りを 、えむくんは焦りを 、僕は心配を 。それぞれ違う感情を抱きながらどうにかしてもう一度セカイに行きたい 。数分だけでもいい 、少しでもいいから司くんと話をしたいのだ 。

    「 ─ ... けて ... 。」
    「 ... ミクくん ?」
    「 ─ あの子を ... たす ... て ... 。」

    僕たちがセカイに行けない今 、ミクくんも此方へ来れないはず 。なのにどうして来れるのだろうか 。途切れ途切れの声に無理矢理にでも来てくれたのだろうか 、と考えていればいつの間にかミクくんは僕の携帯から姿を消していた 。

    「 ... ねぇ 、今のって ... 。」
    「 あぁ 、ミクくんからのSOS 。司くんが危ないかもしれない ... 。」
    「 お願いっ 、セカイさん ... !私たちを居れて ... !! 」

    えむくんが携帯に向かって叫んだその時 、えむくんの携帯は弱々しい光を放った 。いつもとは違う光に司くんへの不安が高まる中僕達が目を開けたそこは司くんのセカイではなかった 。
    ただぬいぐるみが置いてあって暗い 。ピアノが何処かから流れているらしく無音では無いが 。このピアノを聞いた瞬間 、僕はある人の名前を呼んだ 。

    「 ... 司くん ? 」
    「 ... え ? 此処司のセカイ ? 」
    「 でもさっきまでと違うよ ? 」
    「 ... 誰だ ... ? 」

    ぬいぐるみを手に持ち 、震えてる少年の姿が僕達の視界に入れば 、えむくんと寧々は唖然としていた 。だがそんな暇はない 。此処に呼ばれたという事は何かあるかもしれない 。僕はその少年の前でしゃがんだ 。

    「 初めましてだね 。君は誰だい ? 」
    「 ... 。」
    「 おや 、失礼 。僕から名乗るべきだね 。僕は神代類 。」
    「 私は鳳えむ ! 」
    「 私は草薙寧々 。... アンタ司なの ? 」
    「 何でオレの名前 ... 。」

    僕達が司くんの名前を知っているという事実のせいで余計怖がらせてしまったらしく 、目尻に涙を浮かべさせてしまった 。

    「 私たちは未来から来たの ! えへへ 、びっくりする ? 」
    「 ... 未来 ? 」

    流石えむくんだ 。子供の扱い方に慣れている 。未来から来たと言えば司くんは疑わず信じているようだったが不安そうな目をしていた 。

    「 オレはちゃんとスターになっているか ? 」
    「 ... その事なんだけど司くんは今苦しんでいてね 。」
    「 ... なら ... 世界一のスターになれ 、と言っておきてくれ 。」
    「 おや 、こんな小さい頃からスターになりたがってるなんてねぇ 。」
    「 オレは ... 咲希を笑顔にせねばいかん 。それに ... 悲しんでる人達も全員 。」

    司くんの幼少期の話は少し聞いた事がある 。寂しいとは言っていなかったが寂しかったのだろう 。ずっと 。この司くんはこんなに小さいのに孤独で 、自分がしなければいけない事は誰かの為 、そう思っているようだった 。

    「 ... やっと君の枷が分かったよ 。... 司くん 、よく頑張ったね 。君はきっと凄いスターになれるよ 。いつか 、いつかそのショーで自分が幸せと感じれる程に 。」
    「 ... 本当か ? 」
    「 勿論さ 。君はきっと僕達と一緒にスターになる 。もう寂しい思いはさせないさ 。」
    「 ... ちょっと 、後で教えてよね 、類 。」
    「 ふふ 、勿論さ 。」
    「 ... ... 何処から来たのかは知らないが早く帰ってくれ 。そして早く言ってくれ 、未来のオレに 。オレが進む未来をちゃんと照らせ 、とな ! 」

    にか 、と笑みを浮かべる司くんはもう寂しくない 、苦しくないと教えてくれるようないつもの元気な司くんの笑顔だった 。矢張り眩しい 、君はその姿が似合っているよ 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「 ... ミク 、カイト ... ? 何処だ ... ? なぁ 、返事してくれ ... 。オレを1人にしないでくれ ... っ !! 」

    目覚めた後どれだけミクとカイトを呼んでも姿を現してはくれなかった 。恐怖心で息が荒くなっていく中オレは彼奴らなら見つけてくれる 、そう期待してしまった 。そして心の中で 助けてくれ とずっと言葉に出来ず心の中に秘めている言葉を何度も 、何度も叫ぶように 。

    「 やっと開いた ー っ ! 」
    「 随分と硬い扉になったね ? 司くん 。」
    「 之もアンタの想いなわけ ?」

    入口の扉の所にオレがずっと待っていた 、求めていた3人の姿が写った 。どうしてこんなに安堵感に包まれてしまうのだろうか 。嫌だ 、視界から消えてくれ 。そう思ってるはずなのに目が離せない 。目線を逸らせない自分が嫌になる 。

    「 司くん ! 私たち呼んだ ? 」
    「 ... 呼んでない 、出てってくれ 。」
    「 ... 司 。辛い時は頼ってくれていいって 、司が言ったんだよ 。」
    「 ... 出てけ 。」
    「 司くん 。もう君を孤独になんてさせないさ 。大丈夫 、此処にいる僕たちはもう君の仲間だ 。 」
    「 ... 仲間 ... など ... 必要ない ... 。もう1人にしてくれ 、ミクとカイトが居ればいい 。頼むから ... っ 、出てってくれ ... !! 」

    目を逸らし 、また俯けばいつの間に近づいて来たのか 、えむがオレの顔を覗き込むようにして舞台にあがりオレの目の前に座っていた 。

    「 しょぼぼ ~ ん って顔してるよ 、司くん 。」
    「 ... ほら 、楽しいショーの始まりの時間にしたいんだから早く戻って来なさいよね 。」
    「 っ ... 。」

    この3人と居ると考えてしまう 。又オレがステージの上で輝けるのはこの3人となんじゃないか 。オレと一緒に上がってく 、手を引いてくれるのは3人なんじゃないか 。と 。

    「 司くん 。僕の手を握ってくれるかい ? 」

    類の手を握りたくはない 。又あの恐怖のステージへと登らされてしまうから 。もう立ちたくはないのだ 、あんなステージ 。輝けないオレは用済み 。ならばオレが戻っても意味などない 。

    「 ... 悪いけど 、誹謗中傷は全部見させてもらった 。色々とそっちで手回してたらしいけど 。」
    「 ... 何で ... 見つけたんだ ... ? 」
    「 私の幼馴染 、アンタのぶっ飛んでる演出家が見つけたの 。SNSのブロックリストからね 。」
    「 あの時の類くんずももももも ~ って怒ってたんだよね ~ 。」
    「 おや 、人の事言えないだろう ? 」

    どうやら3人はオレへの誹謗中傷に酷く苛立ってくれていたらしい 。3人の事じゃないのだから気にせずともいいのに 。だが 、放っておいて欲しいのに 。何処か3人が来てくれて嬉しいような 、安堵感に包まれてしまう 。もしもまだ許されるのなら 、オレはもう1度 。1度3人と一緒にステージに立ちたい 。だけどステージの上に登れないのは事実 。足が震え声が出なくなりそうなのだ 。セカイのステージにはあがれるのが不思議だが 。

    「 ... 司 。もう1回聞くからちゃんと答えなさいよね 。あんた本当はどうしたいの ? 」
    「 ... オレ ... は ... 。」

    “ 1人だけ演技が下手な奴居ね? ”
    “ 彼奴だろ 、天馬司 。 ”

    もうこれ以上否定の言葉は聞きたくは無い 。だからこのセカイにずっと居たいと願っていたのに 。何故御前らはオレの事を見つけてしまうんだ 。

    「 ... オレはもうステージには上がりたくない 。」
    「 あんたも以外と頑固だよね 。」
    「 司クン ー っ ! 」
    「 ... 何故 ... っ ? 」

    オレの名前を呼ぶのはぬいぐるみ達だった 。全員復活したかのようにオレの近くに近づいてくる 。近づかないでくれ 、もうこんな恐怖心に呑み込まれたくはないんだ 。

    「 司くん ! 大丈夫 。私たちがちゃんと司くんを支えるよ ! 」
    「 頑張って ! 司クン ! 」
    「 煩い 、黙ってくれ ... 。嫌だ 、もう嫌なんだ ... っ ! 」
    「 司くん 。僕達を見てくれ 。」
    「 嫌だ 。」
    「 司くん 。もう君は1人じゃないよ 。1人で抱え込まなくてもいい 。司くん 。君の本心を聞かせてくれ 。」
    「 他の人達なんて考えないで 。司の本心を教えて 。」
    「 私も 。聞かせて欲しいな ! 」
    「 ... っ 、助けて ... くれ ... 。 」

    やっと言えた4文字 。声が震え聞こえにくかっただろうが3人はちゃんと聞こえたのだろう 。嬉しそうに喜び 、入口からは前のセカイなら居たセカイの住人達が入ってくる 。その中にはちゃんとリンもレンもルカもメイコも居た 。そして元の雰囲気を纏うミクとカイトも 。

    「 司く ~ ん っ ! 」
    「 助けに来たよ ~ ! 」
    「 もっと頼って ! 」
    「 やっと言えたのね 。」
    「 えむちゃん達に感謝ね ! 」
    「 最高のショーを届けようか 。 」
    「 わぁっ !皆 ! 」
    「 ... やっとあのピアノの苦しそうな音は消えたね 。」
    「 あぁ 。さぁ 、音を取り戻して行こうじゃないか ! 」

    これがオレの居場所だ 。この明るくて少し煩い此場所が 。だが 、オレはステージに立てない 。それはどうするつもりなのだろうか 。

    「 司くん 。久しぶりのワンダーステージへ行こうか 。」
    「 オレは ... 。」
    「 大丈夫だよ ! 司くん ! 」
    「 今度は必ず支えるから 。」
    「 でも ... っ 。」
    「 司くん ! 大丈夫 。ミク達は此処で待ってるよ ! 」
    「 リンも ! 」
    「 ... ... 分かった 。」

    セカイの住人達に背中を押され 、オレはセカイはまだ始まってすらいないを止める 。類達と一緒にワンダーステージへ向かえば 、ステージを前にしオレは矢張り足が震えてしまう 。

    「 司くん 。大丈夫さ 。ステージは幸せを届けるもの 。決して怖いものなどないよ 。」
    「 ほら 、登って来なさいよ 。」
    「 手を掴んで ! 」

    3人はステージの下に居るオレに手を伸ばす 。が 、矢張り怖いものは怖いのだ 。何もかもが否定されたオレの演技 。其れがまた無駄になると考えたらオレは立てない 。

    「 っ ... 無理だ 、オレには ... 。」
    「 司先輩 。」
    「 司センパイ 。」
    「 司せんぱ ー い ♪ 」
    「 ... な 、何故 ... ? 」
    「 全員 、司くんを心配してたんだよ 。ちゃんと弱い部分の司くんも受け止めてくれる 。」
    「 司先輩 。どれだけ否定されても俺らは否定しません 。」
    「 まぁ ... あんたが頑張ってる事は知ってるしな 。」
    「 そうそう ♪ その手を掴めばきっと司先輩が求める景色が見れるよ 。」

    何を恐れていたのだろうか 。どれだけ否定されても認めてくれる人はちゃんと居る 。それに否定された分 、練習して認めてもらえばいいのだ 。オレは全員に認められる必要なんてない 。ただ数人 。オレの実力を認め応援してくれる人達が居るのなら 、オレはその期待に応えたい 。そう思えばいつの間にかオレは3人の手を握り 、ステージの上に上がっていた 。

    「 ふふ 、求めていた景色は見られたかい ? 司くん 。」
    「 ... あぁ 。」
    「 やっと司が戻ってきた ... 。」
    「 4人揃ってワンダーランズ × ショウタイムだからね !」
    「 あぁ !見ていてくれ 、オレ達の今後の活躍を !! 」
    「 勿論です 。 」
    「 期待してます 。」
    「 ファイト ー ♪ 」
    「 ... ふふ 、ちゃんと君の未来を照らせたかい ? 過去の司くん 。」
    「 む 、類何か言ったか ? 」
    「 何でもないよ 。」
    「 そうか 。」

    見ていてくれ 。絶対に今までオレを批判してきていた人もファンにしてやるから 。ずっと星が出ていなかった夜空に今日 、星が戻ってきた 。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    FIN .

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「 ... 良かったですね 。司先輩 。... 貴方はそっち側で 。」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator