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    モブおじさん

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    今は完全に修弓の倉庫 ほぼ🔞のため18歳以上かつ高校卒業済み以外の方は閲覧禁止

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    モブおじさん

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    檜佐木×綾瀬川のつもりで書いてたけど檜佐木は序盤しか出てない
    綾瀬川が愛されてる

    絶賛39℃台発熱中に書いてるので誤字脱字、辻褄も合ってないかも。ゆるして

    綾瀬川が高熱を出して倒れた!綾瀬川が高熱を出して倒れた。
    そんな情報が入ってきたのは今日の分の業務を終え帰路についていた最中のことだった。とはいえ誰かから直接伝え聞いた訳ではなくその辺りで隊士が話し込んでいるのを偶然耳にしただけだが。
    天下の十一番隊の、しかも席官クラスの奴が風邪を引くだなんて珍しいこともあるもんだな、なんて思いながら九番隊舎へと歩みを進める。決して心配していない訳ではないが、既に斑目あたりが世話を焼いているだろうし態々見舞いに行ってやる必要もないと感じていた。そもそもアイツ自身がそんなことは望まないだろうと判っていたからだ。
    自分の弱みを見せたくないアイツのことだから、きっと斑目に看病されているという事実にさえ悔恨の念を抱いていることだろう。


    「……あ〜〜、参ったな。どうすりゃいいんだ」
    ……なんて思っていたら、前方からその斑目三席が立派に輝く剃髪をなぞりながらドカドカと歩いてくるのに気がついた。斑目も此方の存在に気がついたようで、軽く手を上げて「おう」と話しかけてきた。
    「お前、綾瀬川のこと放っておいて大丈夫なのかよ?」
    つい反射でそう問うた。斑目は眉を寄せながら非常に困ったような様子で続ける。
    「それがよお……、看病しようとしたら追い出されるし、それならと四番隊にぶち込むなりしようかと思ったんだがそれも嫌がるし。せめて食って回復させようとしたんだが飯も食いやがらねえんだ。折角猪を焼いてやったんだがな」
    ボリボリ、と後頭部を掻きながらハアと溜息を吐く斑目。そんなにひどいのか。強情なヤツだとは思っていたがまさか看病さえ拒むとは。……最後の一言が余計に心配を煽った。
    「とりあえず四番隊から薬だけは貰って部屋の前に置いてきたんだけどよ。食わねえことには治るもんも治らねえしなあ……、病人の看病なんてほぼ初めてだし、どうしたらいいかわからねえ」
    いつも豪快に笑う斑目の顔がこれまでに無いほど翳っている。
    「……ちょっと、ついてこい」
    そうやって手で合図すると足速に自身の家へと向かった。



    「これ、これとこれと……あとはこれだな、あぁ、これもあったほうがいいか」
    玄関を開けるなり台所へ直行し、食材を手に取って風呂敷に包む。一通り用意すると玄関でぽかんと立ち尽くす斑目に押し付け、今度は机に向かった。
    紙と筆を用意して、さらさらと走り書く。
    碌に墨が乾くのも待たずにその紙も斑目に押し付けた。
    「とりあえず、これを作って食わせておけ。薬を飲むのを渋るようならこっちの甘味と混ぜてやれば上手いこと騙せるかもしれねえ。寒気があるなら飴湯を飲ませてやるのもいい。本当なら今すぐ四番隊に行かせるのが1番だが……それも嫌がるだろうな。もし長引くようなら引き摺ってでも連れて行けよ」
    「お、おう……?」
    「あとな、弱ってる人間に肉は無理だ。そもそもアイツは元々魚派だろ、余計に食わねえ」
    一頻り伝えたいことを捲し立てると、困惑して棒立ちする斑目に急いでやれ、と背中を押した。
    「よくわからねえが、ありがとよ!」
    ドタドタと走って十一番隊舎に帰る斑目を、「氷嚢もこまめに変えてやれよ!」と見送った。





    ⬜︎





    けほ、と乾いた咳が静寂に響く。何もしなくてもひりひりと酷く痛む喉が悲鳴を上げた。
    ——迂闊だった。確かに昨晩から妙な寒気を感じていたが、気のせいだろう、体調管理不足で仕事に穴なんて開けられない、と意地を張っていたのが間違いだった。
    午前中まではなんとか書類仕事をこなしていたはずだが、その記憶もない。討伐業務でなくてよかった、なんて思う日がくるとは。情けなさからか目の前が潤んで見えた。
    せっかく心配してきてくれた一角にも、副隊長にも、ほかの隊士たちにも随分と辛く当たってしまったように思う。
    …………孤独だ。
    下唇を噛み、ぎゅっと眼を閉じる。恐ろしいほどの寒気に包まれながらも額には汗が滲んでいて酷く不快だ。
    ずんと身体が重たい。自分の身体を掻き抱いてぎゅうと布団の中で丸まった。



    「———ちか、おい、弓親。起きてるか」
    相棒が自分を呼ぶ声ではっと眼を開ける。気づかないうちに眠ってしまっていたらしい。平常ならどれだけ深く眠っていても自分に近づく霊圧は決して取りこぼさなかったはずなのに。
    くそ、とシーツを握りしめた。
    「……あぁ、起きているよ。何か用?」
    喉の痛みを堪えつつ、努めていつも通りに。しかし、微かに声は震えていた。
    返事を聞くや否やがらりと障子が開けられた。見慣れた剃髪と、その後ろに心配そうに此方を伺う淡い桃色の髪の少女。伝染ったら大変だから離れろと言いかけた声は、一角の持っていた盆の上に意識を持っていかれてついぞ発されることはなかった。

    大きめの盆の上に、小さな土鍋がほこほこと湯気を立てている。嗅覚の鈍った鼻を微かに出汁のいい香りが刺激した。
    「……ほら。これなら食えるだろ」
    部屋の中にずかずかと押し入ってきた一角が枕元に盆を置いた。上体をおこしよくよく見てみると鍋だけでなく、湯呑みや小鉢もある。湯呑みは鍋と同じように温かな湯気をたて、小鉢には……なんだろうか。黄色くふるふるとした何か。上には焦茶の液体。此方からは湯気は立っていない。
    じっと盆を眺めていると、あのね、あのね、と可愛らしい副隊長が口を開いた。
    「つるりんがね、ゆみちーに食べて、って。さっき一生懸命作ってたの。……だいじょうぶ、さっきあたしも味見したけどすっごく美味しいよ!ね!」
    いつものように花の咲いたような笑みを見せているが、その目はどこか潤んでいるようにも見える。
    「……そういうこった。仕事のこととかはまァ、俺らでなんとかしとくからよ。なんも気にせずに、冷める前にそれ食って大人しく寝てろ。……あぁ、その小鉢の黄色いヤツは最後に食えよな」
    ぺし、と額をはたかれる。
    言い返す暇もなく一角たちはなんかあったらすぐ呼べよと部屋を後にした。


    2人の足音が聞こえなくなるまで障子を見つめていた。泣く子も黙る十一番隊の副隊長と第三席が並んで台所に?その様子を想像してくすりと笑みが溢れた。さっきまで肉を食えだの酒飲んで消毒しろだのなんだの言っていたのに一体全体どうしたのだろうか。
    鍋の蓋に手が伸びる。ぱか、と小ぶりのそれが開くと先ほどとは比べ物にならないくらいのいい香りと湯気が立ち上る。
    (お粥……?)
    鍋の中にはやわやわと蕩けた白い米がゆったりと漂っていた。鰹出汁の香りが心を落ち着かせる。中心には種が取り除かれてその身をほぐされた梅干し。無意識にレンゲを手に取った。
    側においてあった空の腕によそってふう、ふう、と数回息を吹きかけ口に含む。
    よく蕩けて柔らかくなった白米は鰹の優しい風味を纏い、腫れた喉を刺激することなくするすると胃まで滑り落ちていった。
    「……おいしい」
    心の底からほっとするような優しい味わい。つい先刻まで食欲がなかったのが嘘のように手が進む。
    半分くらい食べたところで椀を置き、湯呑みを手に取る。鼻を近づけてみると生姜の力強くも優しい香りが鼻腔を擽った。こちらにも微かにとろみがついているようだ。
    そっと湯呑みを煽る。途端に優しい甘さと生姜が穏やかに喉を通っていく。なぜか懐かしさを感じた。甘さの正体は水飴と……僅かに蜂蜜も入っているのかもしれない。
    お粥の塩味を甘さが洗い流し、口腔内をリフレッシュさせた。
    此方も半分ほど飲み干し、また手はお粥へと向かう。食べ進めていくにつれ程よく冷まされ、息を吹きかけなくても食べられる温度になっていた。
    みるみるうちに鍋の中身は減っていき、とうとう最後の米粒が胃の中に収まった。体がじんわりと温まって心地よい。あれほど恐れていた寒気はどこか遠くへ行ったようだ。

    空になった鍋の中へ椀とレンゲを置く。
    そういえば、これは一体何なんだろう。小鉢の中に身を潜める謎の物体。小鉢を手に取り左右に揺らしてみるとそれは抵抗という抵抗もなくぷるん、ぷるんと揺れた。
    「……なに、これ」
    微かに眉を寄せる。小鉢の置いてあった側にはとても小さな銀色の匙があった。これを使って食べろということだろう。
    普段なら見知らぬものには十分過ぎるほど警戒をして進んで手をつけることはない。しかし、あの一角と副隊長がわざわざ自分へと持ってきてくれたのだ。手は迷いなく匙へ伸び、そのまま珍妙に揺れるその黄色(と、ほんの僅かな焦茶)の山に突き刺した。
    匙の上でもぷるんぷるんと揺れるそれを見つめ、一寸躊躇ったがぱくりと口に含む。

    「……!……!!」
    目の前がきらりと煌めいた。甘い。いや、甘いだけでなくほろ苦さもあるような。
    さっきの生姜湯も優しい甘さが喉を癒してくれたが、此方はそれよりも甘くてつるりと喉を通った。これは何だろう。幾分鈍った舌と鼻で正体を突き止めようとする。黄色い部分は卵のような、乳のような……?
    山の頂点のこの焦茶が良いアクセントになっていて、甘さの中で絶妙なバランスでもって成り立っている。
    目の前で愉快に小躍りするそれに次々と匙を突き刺して口の中に運ぶ。綺麗な山形だったそれはみるみるうちに無骨な岩へと変貌し、遂に全て胃の中に収まった。
    最後に湯呑みに残った生姜湯で口内をさっぱりとさせると、心身がえも言われぬ満足感で満たされた。
    それを自覚した瞬間に突如襲う眠気にも似た脱力感。無駄に抗うことはせず、ゆっくりと布団に身を横たえた。




    ⬜︎




    「弓親、入るぞ……」
    聞こえるか聞こえないかくらいの声量で障子の向こうの人物に呼びかける。返事はない。それで良い。
    普段ならあちらこちらで遊び回っているはずの副隊長は今日は落ち着かないように隊舎内をウロウロと歩き回っていた。此処まで向かう途中で鉢合い、「ゆみちーのとこいくの?あたしもいく!」と駄々を捏ねられたが、伝染るといけねえと何とか納得させて置いてきた。

    音を立てぬよう障子を開ける。気配を悟られぬよう慎重に中へ入った。
    (……よし、全部食ったな)
    几帳面に収められた空の食器に眼をやり口角を上げる。
    呼吸も先程よりも随分と穏やかになっており、顔色も回復してきたように思う。
    そっと手を伸ばして未だ微かに汗ばむ額に触れる。確かにまだ熱く感じるが、こちらも良好なようだ。うんうんと1人頷いて、スムーズな手つきで氷嚢を取りつけてやった。
    「……しかし、こいつがぺろっと平らげるとはな。量も普段食ってる分より少し多かったはずだが」
    すげえなあと胸元から紙切れを一枚取り出した。
    走り書き故か彼方此方に墨が飛んでいたり、滲んで切れているところもある。檜佐木が書いてくれた粥と、飴湯と、ぷりん?とかいう現世の甘味の作り方だ。
    粥は何通りかの作り方が記載されていたが今回は鰹節と梅干しのものにした。
    ぷりんには檜佐木が言った通り四番隊からの薬を混ぜ込んでみたが、気が付かずに食べ切ったようだ。

    長居して弓親を起こしてしまってもいけない。
    一頻り様子を伺うと盆を持って退室する。
    「つるりん……、ゆみちーは?」
    障子を閉めた途端どこからか副隊長が、ひょっこりと現れた。いつも爛漫な笑みを浮かべている表情は今は硬く曇っている。
    「コレ見てください。ホラ、完食してます」
    屈んで空になった盆を見せてやる。「これだけ食えりゃもう大丈夫だろ」と付け加えると、ぱああと少女に笑顔が戻った。
    「そっか、そっかぁ!つるりんのお粥美味しかったもんねえ!あは、よかった〜!」
    るんるんと廊下で弾む副隊長をやんわりと静止しつつ食器を引き下げに台所へ向かう。
    こりゃあ、檜佐木のヤローに感謝しなくちゃなあ。





    ⬜︎



    ▫︎






    「弓親ァ!そっち行ったぞ!」
    「わかってる!」

    途端、美しい太刀筋が巨大な虚の身体を真っ二つに裂いた。
    あれが今日の最後の獲物だった。久しぶりの討伐、久しぶりの感覚!これまでに無い爽快感だった。
    高熱を出して倒れてから早2週間ほど。長かったような短かったような、やっと実戦に戻ることができた。手に馴染む斬魄刀の柄。藤孔雀は復帰が遅いだの何だのぶちぶち文句を言ってきたが聞こえないふりをして刀身を鞘に収める。

    「おう、随分状態良いじゃねえか。暫く寝込んでたやつの動きとは思えねえよ」
    ニマニマと笑いながら一角が話しかけてきた。口振は大袈裟でここ数日のことを揶揄っているようだった。
    「まあね。誰かさんがそれはもう熱心に看病してくれたおかげだよ。毎食具材の違ったお粥に、あの甘味。甲斐甲斐しい相棒を持てて僕は幸せだよ」
    態とらしく声を張りながら軽口で返す。
    「おーおー、そりゃ何よりだぜ」
    わしゃわしゃと頭を撫でられる。折角のセットが崩れるだろうという文句は今日は胸の内にしまっておいてやることにする。今度酒の1つや2つ奢ってやらないとなあ、副隊長には現世の洋菓子でも買ってきてやろう。そんな事を考えつつ、隣を歩く一角に療養中に感じていた疑問を投げかける。
    「……そういえば、君よくお粥なんて作れたね?しかもちゃんと出汁まで取って。」
    すっごい美味しかったなあ。僕好みど真ん中って感じでさ。体調悪くない時でも食べたいくらいだよ。気分がよくて素直に言葉が出た。
    「ほー、そりゃ良かったな。あとで檜佐木にもちゃんと礼言っとけよ」
    帰路についていた足がぴた、と止まった。
    「え?どうしてそこで檜佐木くんが出てくるのさ。ここ最近全く会ってないけど」
    「どうしてって、そりゃあ。
    あの盆の中にあったやつは全部檜佐木がオメーに、って作り方書いて寄越したやつだぞ」

    「……え」

    「どうやら隊士たちが話してんのを聞いたみてえでな。これはこうしろだの、病人にはコレが良いだのなんだの。材料も寄越してきた。助かったぜ」
    「………………」
    「……ん?どうした、なんか少し顔赤くねえか?……やっぱりまだ本調子じゃねえのか?!」
    珍しくオロ、と取り乱す一角。くそ、いつもなら顔色くらいすぐに変えられるのに病み上がりだからかうまくいかない。
    「おい、大丈夫かよ。救護班……四番隊呼ぶか?」
    「いい、大丈夫!!久しぶりの戦闘だったからちょっと疲れちゃっただけ」
    それらしい言い訳で取り繕いながら心配する一角を制した。
    「もー、さっさと帰ろ!僕疲れちゃった!」

    隊舎に戻ろうと止まっていた歩みを再開する。なおも赤く染まった頬を悟られないよう、今日は一角の前をずんずんと歩いた。
    ああ、ほんとにもう。してやられたなあ。
    隊舎に戻ったらすぐに伝令神機で声の一つでも聴かせてやろう。たまには此方から食事にでも誘おうか。前に行きたがっていたあの料亭がいいかな。
    歩きながら脳内であれやこれやと候補を上げていく。いや、食事でなく何か別のものがいいだろうか。……まあ、その辺りは彼の希望に全て委ねるとしよう。
    気がつくと、いつもの倍近い速度で帰路を進んでいた。

    兎にも角にも、今はただ彼をうんと甘やかしてやりたい。それだけだった。
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