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    モブおじさん

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    今は完全に修弓の倉庫 ほぼ🔞のため18歳以上かつ高校卒業済み以外の方は閲覧禁止

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    モブおじさん

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    猫のような綾瀬川、犬のような檜佐木……でほのぼのなお話を書こうとしたのに雲行きが怪しい。続きもあるけど案の定すけべになってしまったので、とりあえずここまで

     檜佐木は犬みたいなやつだ、と思う。
    目の前で大口を開けながらスヤスヤと穏やかに眠る男の姿を見て弓親は情事後特有の気だるさの中でつまらなさそうにそんなことを考えていた。

     犬……といっても、昔流魂街で見たような、人を寄せ付けず荒れ狂って痩せこけたような野良犬ではない。弓親の頭の中には、この間現世に行った時に見た大型犬海外原産のもの——啓吾がジャーマン・シェパードだかなんとか言っていたっけ——が浮かんでいた。
    大きな身体に、見る人が見れば場合によっては恐怖心を抱くでろう風貌。猛獣のように見えてその性格は温厚で友好的。飼い主の命にはとても忠実で聞き分けがよく、気を許した相手には尻尾を千切れんばかりに振って懐く。
    これも啓吾から聞いた話だが、よく訓練されたシェパードは現世では警察として働くケースもあるらしい。それ程までに能力が高いという事だ。
    檜佐木はそれにそっくりだと思った。

     指先で眠っている彼のまっさらな首筋を辿る。今は外されているが、仕事中の彼はここに爆薬を付けている。彼の性格も相まって、その姿はまるで首輪をした犬の様相そのものなのだ。
    弓親はそれを好ましく思っていなかった。弓親の美意識とは大きくかけ離れた意匠であったし、なにより見ていて面白くない。
    (僕は君の飼い主でもなんでもないけれど)
    彼の白い首筋を眺めながら弓親は自嘲気味に笑うと、今は自由なそこにそっと唇を寄せた。
    ちゅ、と唇を密着させて強く吸い上げる。
    引いてみると、吸い付いたところは鬱血して紅い花が咲いていた。
    これを見た彼はどんな反応をするだろうか。そんなことを考えながら、今度はそのすぐ隣に吸い付いた。

     何度か繰り返しているうちに、流石に違和感に気がついたのか檜佐木がううん、と小さな呻き声をあげて身じろいだ。
    隠されていた、大型犬そっくりの鋭い瞳がゆっくりと露わになる。
    眠たげに何度か瞬きをしてこちらを伺うようにじっと見つめてくる。なんだか面白くて、今度は鎖骨の辺りにがぶりと歯を立ててみた。
    「……いて」
    心優しい犬は困ったように笑いながら呟くと、大きな手で弓親を抱き込んで頭を優しく撫でた。
    「眠れないのか。……身体が冷えてるんじゃないか、湯たんぽでも持ってくるか」
    ぽつぽつとまだ半分眠ったようなのろい口ぶりで囁く。
    「いらないよ」
    端的にそう返すと、弓親はまた揶揄うように檜佐木の首筋目掛けて口を開く。
    弓親が何をしようとしているのか、何をしていたのか。いくら寝ぼけているとはいえ、気が付かない檜佐木ではない。しかし檜佐木は自身の眠りを妨げた弓親を咎めることはせず、変わらずゆったりと頭を撫でながら弓親からの欲をおおらかに受け止めようとしている。
    弓親はそんな檜佐木の……どこか理性的で余裕を感じさせる、自分を子猫のようにあしらう態度が気に食わないと感じた。

     ふと思い立ち、布団の中でぬくぬくと寝転がっていた体を強引に起こし、油断しきった檜佐木の上に馬乗りになった。驚きからか檜佐木の喉がひゅっと大きく鳴ったのが聞こえたが、構わずに唇に齧り付く。
    「ん、ッ……?!」
    檜佐木が大きく目を見開き反射で身を捩る。逃げられないようにしっかりと両腕を布団に縫い付けて何度も角度を変えて唾液を啜り飲んだ。
    「ぁやせ、ッ……がわ……!?」
    口付けと呼ぶにはあまりにも一方的で激しい交わり。檜佐木は合間を縫って弓親の名前を呼び、落ち着かせようとする。しかし当の弓親は檜佐木の瞳をじっと見つめながら檜佐木の口内を蹂躙した。

     どれほどの間そうしていただろうか。既に2人の息はあがり、大きな息遣いと水音だけが部屋に木霊していた。
    弓親が檜佐木を決して逃さないように見つめていると、徐々にだが確実に檜佐木の鋭くも優しい瞳が本能に染まっていくのを悟った。あともう少し。虎視眈々とその時を待った。
    「…………おい」
    口付けの合間、ぎらぎらとした声で呼び止められる。
    弓親はにやりと笑うと檜佐木の腕の拘束を緩めた。
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