(※注意 蛍ちゃんは鍾離先生を常識ある大人だと思っていますけど、ウェンティ過激派となっております。)
「……それで、先生。申し開きはある?」
優雅に椅子に腰掛ける旅人の前には、沈痛な面持ちの鍾離が一片の崩れのない正座を維持し続けていた。
少女のやわらかな陽だまり色の瞳は冷え切り、温度のない眼差しで青年を見遣る。
そして、これまた温かさが微塵も感じられない声色で紡がれた彼女の問いかけに、鍾離は視線を右往左往させると、おずおずといったように言葉を選んで口にしていった。
「……正直、自分でも大人げなかったと思っている」
「それで?」
「……バルバトスに、謝りたいと思っているのだが」
「謝罪だけなら誰にもできるよ、先生。私は、ウェンティの気持ちを先生がちゃんと分かってあげて、なおかつ、先生がしでかしたことの深刻さを理解した上での謝罪をウェンティにしてほしいの。言葉だけの謝罪なんて要らないんだよ、先生」
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