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    Touno_hiragi12

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    私が見たいだけ話SP〜リオヌヴィとヴォヌヴィを添えて〜

    学パロ、🌧が腐男子、🌧愛されのやりたい放題でお送りします(昔書いたネタのブラッシュアップです)

    妄想とらいあんぐる ヌヴィレットが『BL』というジャンルに出会ったのは、彼が高校に入学したばかりの頃だ。
    当時三年生で風紀委員長だった従姉妹のフォカロルスに指名され風紀委員となり、家が神社だという先輩女生徒から本を取り上げた事がある。
    「本くらいいいじゃないか」と思われるかもしれないが、その時期は校内で未成年には禁じられている雑誌が発見され、これを持ち込んだ生徒の発見と防止の為に似た大きさと薄さの本は没収する動きになっていた。
    その事はきちんと全校生徒に伝わっていたはずなのにも関わらず、スクールバッグの中に本を忍ばせていた先輩女生徒は大胆不敵なのかうっかりなのか…。
    閑話休題、見事に風紀委員としての役割を果たしたヌヴィレットはどのような本を取り上げたのか、真面目に精査していたところでその女生徒の本の表紙に注目した。
    その表紙に描かれていたのは本屋やテレビCMなんかでよく見る漫画の主人公とライバル。
    実際の漫画とは絵柄が違う気がするが、以前フォカロルスの妹であるフリーナから『アンソロジーコミック』なるものを教えて貰っていた為、その部類だろうとヌヴィレットは考えた。
    こういった形式の本は複数人の作者から成る。故に表記には無いが、何か一つでも青少年に宜しくない表現が混じっていないか調べる必要がある。
    妙な生真面目さと行動力で本を手に取ったが最後、めくるめく『BL』な世界を目の当たりにしてしまったのだ。
    最初こそ本の内容に驚いたものの、生真面目さと同居している柔軟さで直ぐに二人の恋愛模様に引き込まれていった。
    思わず読了してしまったヌヴィレットは本を丁寧に閉じたあと一言呟いた。
    「よかった……。」

    その後、問題無しとされた本を返しに行ったヌヴィレットはBLアンソロジーの持ち主である先輩女生徒へ真っ直ぐで嘘偽りない眼を向けながら本の感想を伝えた。
    すると彼女は何だか生き生きとした様子で自身のおすすめを貸し…布教活動を行い、見事に可愛い後輩を『BL沼』に突き落としたのだ。
    兼業として『八重堂』という本屋もやっている先輩の家の手助けもあり、見事に腐男子として進化したヌヴィレットはこっそりひっそりBLジャンルを満喫している。
    BL沼に浸かりすぎた結果、湧き出る萌えを消化すべく自作小説にも手を出し、誰にも見せることはせず自分のシチュエーションに自分で悶える…なんてことも多々あった。
    そんな密やかに楽しんでいた趣味もやたらと鼻のきく従姉妹に早々にバレ、見せて見せてとせがまれた上に小説の続きを楽しみにされているのだが。
    もっと言うとフォカロルス伝いで小説の件を聞いた先輩から「妾には見せてくれぬのか?」とせっつかれてもいるのだが。
    自分の過去作を眺めながらぼんやりしていると、ガラガラっと教室の扉が開いたのが聞こえる。
    「ヌヴィレット、まだ残ってたのか?」
    そう言いながら近付いてきたのは幼馴染のヴォートランだ。
    部活が終わったばかりなのだろう。体はまだ汗ばんでいるのが見て取れるし、ほのかに男らしい香りがする。
    「君達と共に帰ろうと思ってな。一人は、寂しい。」
    ヌヴィレットをよく知る人達曰く『分かりやすい』顔で意思表示すれば、相手は呆れたような困ったような様子で溜息を吐いた。
    「……分かった。玄関でリオセスリが待っているだろうから早く行こう。」
    しょうがないなと言いたげなのを隠しもしないヴォートランは、ヌヴィレットの教科書や参考書なんかでパンパンなスクールバッグを肩に担いだ。
    「それくらい自分で持てる。」
    「待たせていた詫びだ。素直に受け取ってくれ。」
    そう言ってさっさと教室を出ていこうとしたので慌てて後を追いかける。
    無人になった教室に鍵をかけ、職員室に鍵を返して漸く玄関に向かえば、下駄箱にもたれ掛かりながらスマホをいじっている人影が見えた。
    閑散としている廊下にペタンペタンとスリッパの足音が響いたのを聞いて、その人影は画面から視線を上にずらす。
    視界にヌヴィレットを捉えた瞬間、彼は目を輝かせながら駆け寄ってきた。
    「ヌヴィレットさん!」
    「こら、廊下を走ってはいけない。」
    飼い主を見つけた子犬のように駆け寄ってきた相手を窘める。
    彼の名前はリオセスリ。二歳下の後輩でヴォートランの弟…つまり幼馴染の一人だ。
    ご覧の通りヌヴィレットに非常に懐いていて、言う事もよく聞いてくれる。
    ぴたりと足を止め、ゆっくり歩くのにシフトチェンジしたのを見てもらえばそれがよく分かるだろう。
    「待っててくれたんだ?」
    「一人で帰るのは寂しいらしい。」
    「えっ、可愛い………!」
    口を手で覆い何やら悶える弟を放ってヴォートランは靴を履き替える。
    「そういう事なので共に帰ろう。」
    ヌヴィレットはリオセスリの手を引いて、ヴォートランを追いかけて並んだ。

    「リオセスリ君、部活の調子はどうかね?」
    「絶好調だよ。今度の試合レギュラー入りだし。」
    生き生きと嬉しそうに部活でやった事を話してくれる可愛い弟分が微笑ましく、大きく跳ねた髪の毛も相まって可愛い犬にしか見えない。
    よしよしと撫でれば見えないシッポがブンブンと振られている、そんな気がした。
    「調子に乗って大怪我をしないか、今から心配ではあるがな…。」
    やれやれと肩を肩を竦めてみせたヴォートランは兄の顔をしていて流石、リオセスリともう一人妹を持つ兄だなと感じる。
    子供扱いされ「なんだよー」と膨れる弟と、それを窘める兄。
    一人っ子故にそんな兄弟のやり取りが羨ましくも、にこやかな気持ちになる。
    ヌヴィレットは一歩引いた所から、大切で大好きな幼馴染兄弟を見た。
    両者とも真面目で正義感が強く、とても優しい人物だ。
    ヴォートランは寡黙で堅物すぎるきらいがあるが、その心根は熱くて情を大切にしている。
    何だかんだと言いながら相手の世話を焼いてくれる一面もあり、ヌヴィレットにもきっちりと適応されている。
    リオセスリは紳士的で人当たりがよく、頭の回転もピカイチでとても優秀だ。
    ジョークを好んでいて相手をからかうのが好きな部分もあるが、少しの欠点は魅力のひとつだろう。
    どちらも運動神経に優れていて、オマケに顔もいいと付くので男女問わず人に囲まれている所をよく目撃した。
    こんな誰からも愛される自慢の幼馴染がどうして、ただ少し勉強が得意なだけの自分に良くしてくれているのか分からなくなる時がある。
    この疑問は初めて彼らと出会った小学生の頃に遡るが、未だに分かっていない。
    とにかく、かっこよくて魅力に溢れる幼馴染と出会い、良くして貰えている縁には感謝している。
    腐男子となった今では特に、理想の攻めと言っても過言では無い二人が身近にいる為妄想が捗るのだ。
    こそこそと書き連ねている自作小説の攻めだって、この二人をモデルにしていないと言えば嘘になってしまう。
    それくらいヌヴィレットにとってヴォートランとリオセスリは完璧でかっこよくて、理想的な攻め様像をしているのである。
    ナマモノ…親しい相手で妄想するのは少し心苦しい所はあるが、あくまでも本人ではなく本人に多少似せた別人なので許して欲しい。
    数歩先でじゃれ合う兄弟の様子を「今日も二人はかっこいい攻めだ…」と観察しながら、今降ってきたネタを頭の中でこねる。
    今日も素晴らしく萌え悶えてしまう話が生まれてしまうな…、と確信していたヌヴィレットはその時気が付かなかった。
    ヴォートランたちがぽけーっとしているように見えるヌヴィレットに、心配でありつつも愛おしげな目を向けていたことに。
    「ヌヴィレットさんは抜けてるから俺が守ってやんなきゃな……。」
    「ハァ…本当に世話が焼けるな。ヌヴィレットは。」
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