Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    すなの

    @sunanonano25

    👼😈👼
    書いたやつ‪‪𓂃 𓈒𓏸✎

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🎢 🎆 🍹 🐤
    POIPOI 26

    すなの

    ☆quiet follow

    S2後アジ←クロ
    おひとりさま悪魔

    天使のいる構図 こと絵画の中では、ある時期まで光は神の出現のシグナルとして描かれた。人間たちはあらゆる手技を尽くして絵の中に神を招きたがり、神はそこかしこの芸術品に映りこんだ。
    悪魔の感性からしても、個人的な趣味としても、クロウリーにはそれらの絵画よりその辺の若者のセルフィーの方がだいぶましに思えた。どんなにいい感じに射し込む光にも光源以上の価値を見出さないからだ。我ながらいい文化を考案したと思う。ただ、残念ながらそれらはここには一枚も見当たらなかったが。
    美術館は神の似姿で溢れていた。
    天使も、イエスもいたが、どれも実際の姿とはあまり似ていなかった。
    特に天使は、クロウリーのよく知った彼の姿とはかけ離れていた。絵の中の天使はチョコレートもクリームもとろける渋みのワインも、寿司も、牛フィレ肉に甘口のソースをかけたやつも好きじゃなさそうだし、悪魔の友だちもいなさそうだ。
    あいつは見た目だけで言えば天使よりむしろキューピッドに近いなとクロウリーは思った。
    柔らかそうな髪も、薔薇色の頬も、いたずらっぽい目も、真っ白い羽根も、彼を思い出させる。けれどやはり、別人だ。天使は恋を解さない。

    クロウリーは少しだけ友だちに似ている気がした愛の化身をしばらくの間眺めていたが、やがて飽きた。
    外の広場は忌々しいほどに美しい秋晴れで、夜まであの絵の前でじっとしていればよかったなと後悔した。
    シャンパングラスに溢れる金色の泡みたいに、眩しくて幸福な陽射しだった。
    日除けに入りたいと思ったが、そんなものはどこにもなかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    すなの

    DONEアイスフレーバーワードパレット
    12.バナナ
    ひとがら/そばかす/脆弱性 でした🍌
    人間AUリーマンパロです👓👔
    スイートスポット 情報システム部と総務部なんて一番縁遠そう部署がどういうわけか同じフロアで隣り合っているのは、結局どうしてなんだっけ。
    クロウリーに聞くと「実働とそれ以外みたいに雑に分けてんだろ、どうせ」とか言うけれど、あの日のことを思い出す限り二人にとってこのオフィスの不思議な配置は幸運と言う他なかった。
    土曜の昼下がりだった。産休中のアンナが人事書類を提出しにくるというので、アジラフェルはガランとした休日のオフィスで彼女らを待っていた。それ自体は前々から予定していたことだったし、こちらにもあちらの用意した書類にも不備はなかったから手続きは無事済んで、復職時期の相談もできた。誤算だったのは、どこから情報が漏れたのか、生まれたてのかわいいアンナの赤ん坊を一目見ようとやれ彼女の所属する営業部のだれそれや、同期のなにがしがわらわらとオフィスを覗きに来て、アンナはアンナで「これ皆さんでどうぞ」なんて言ってえらいタイミングでお菓子の箱を出してきたことだ。チョコとバナナのふんわり甘い匂いのするマフィン。個包装だから持ち帰れはするが、まあみんなこの場でいただく流れだろう。そういうタイミングだ。カップが足りない!
    2330

    recommended works