脱出、そして遭逢「なんとかここまで来れた…」
自分が文字を読むのが好きでよかったと心の底から思う。
広報にハイカラシティの開発が進んでいると書かれていたのを思い出したのだ。
「一人やけど…まあ祝ってもらえないよりかはマシか」
開発が進むハイカラシティの片隅で一人寂しく笑う。
「うち、14歳おめでとう」
時刻は12月2日の0時を回った頃。一人で誕生日を祝っていたその時だった。
「うおっ、おねーちゃんそんなとこで何してんの」
「…誰ですか」
突然話しかけて来たインクリングらしきヒトを思わず睨みつけてしまう。
「わあ警戒心むき出し。アタシはデュアルスイーパー。まあデュアルちゃんとでも呼んでよ」
「…」
「そんな黙り込まなくてもいーじゃん、ほらほら名前教えな」
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