白浜の小さな恋フロイドは小さな港町に暮らすごくごく普通の5歳の少年だ。いや、普通と言うには少々のんびりしすぎているきらいはあったが、放任主義の両親の元、のびのびと育った普通の少年だ。
そんな少年フロイドは暇さえあれば海辺によく行って遊んでいた。遊びはその日ごとに違って、何に使っているのかも分からない丸いガラス玉を集めては海の水で洗って持ち帰る日もあるし、ただひたすらに打ち寄せる白い波に足を浸からせてバシャバシャと飛沫を上げさせてはきゃらきゃらとはしゃいでいる日もある。時々バケツを持って行って何を取ってきたかと思えば、数多のヤドカリを詰めて蠢くバケツの底をそれはそれは嬉しそうに両親に見せては悲鳴を上げさせる日もあった。
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