10/19新刊 サンプルっぽいやつ エグザベ・オリベがMIAになった。
その知らせは、シャリア・ブルの別任務が完了し、帰還する途中で齎された。さあっと血の気が引く感覚。心臓が大きく跳ねる。至急だという報告を取り次いだコモリ・ハーコートは言葉を失った。端的に用件だけを告げた通信機はぷつりと無感情に切れてしまい、それ以上のことを知ることは出来なかった。
「中佐、あの。今のは…」
「……私達の聞き間違いでなければ、エグザベ少尉がMIAになった、ということですね」
「そんな…」
コモリが手元の端末を握り締める。シャリアも、手袋をしていなければ手のひらには爪の痕が残っていただろう。額にもう片方の手を置いた後、大きく息を吐いた。
「ひとまず帰還を急ぎましょう。あまりにも情報がない。このままでは動きようもありません」
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