今度からは教えてね そのことに気付いた瞬間、身体中から血の気が引いたような感覚が襲った。何度目を擦ってみても、結果は同じ。
いない。いないのだ。
「何故……」
私の大事な、テディベアが。いつも置いてある場所から、いなくなっていた。
◆◇◆◇
「これを……私に?」
「うん!」
それは、まるでテランスに似たブルーグレーの瞳をした可愛いテディベア。そのテディベアを持って、にっこりと微笑み、私へと差し出してくる子供の頃のテランス。
「家の中までは一緒にはいられないから……これを、僕だと思って」
「……!」
私は嬉しかった。心の中に花が咲いたようだった。私はテランスからテディベアを受け取り、ぎゅっと抱きしめる。
家は隣同士で、よくお互いの家に遊びに行ったりしたけれど、さすがに夜までは一緒にはいられない。私が「テランスともっと一緒にいたい」と泣いてしまったことを覚えていてくれていたのだろう。優しいテランスは私のために、テディベアを買ってきてくれたのだ。
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