ケン坊が帰ってきたケン坊が久しぶりに帰ってきた。
なにせここは(こんな)場所だ。
ヤツが自分で自分の場所をみつけて曲がりなりにも自立とやらをしたならば、それに越したことはない。
それでも、たまに顔を見せてくれるならいいと思っているのはオレの勝手な親心だ。
育てたつもりはさらさらないし、ここが家とは口幅ったいが、アイツの(部屋)は相変わらずそのまんま。
気軽にふらりやって来て、たまーに元気な顔を見れたらそれで満足だ。
「おーケン坊久しぶりィ」
「わりぃ、ちょっと荷物探していいか」
「そのまんま残ってるから勝手にやれや」
「んー」
カウンター越しに覗いたヤツは珍しくツレを連れていた。
ヤツより背の低いひょろっとてホソッコイ。やたらとキレイな金色の髪は本物か。
1590