「私が君との手合わせに勝ったら付き合ってください!」
神桜にそう言われ俺は「やだ」と即答した。断ると面白い具合に表情が変わる。
「だってお前可愛くねぇしどっちかって言うとブスじゃん」
正直そう思ってない。ただ誂った。だけどその言葉に俺は後悔する。
久々に道場に訪れるとそこには神桜が居たが眠っていた。近くに行っても起きる気配なし。今ならあの時の謝罪が出来るかもしれない…そう思って垂れ下がってる髪に触れようとしたその瞬間、冷たい冷気に思わず手を引っ込めた。
「貴様、俺の主に何をしている」
気配もなしに突然現れた。顔を見ようにも逆光で顔が隠れている。声と顔は見えないがシルエットで美男子だろうと言う想像はつく。
「あ、主?この女が?笑わせんなってコイツそんなじゃないだろ」
笑いながら答えると一気に温度が下がっていくのを感じた。
「もう一度言ってみろ。次は首を飛ばす」
眼の前の男にそう言われると冗談でなく本気ということがわかる。
近くで寝ていた神桜が目を覚まし逆光で顔が見えない男と話をしている。
昔は俺と目が合うだけで顔を赤くしていたあの女がそのまま俺をスルーしたのに衝撃を受けた。
『眼中に無い』と言わんばかりの雰囲気だった。すれ違いざまにあの神桜の隣に立っていた男が「無様だな」そう言い去って行った。
俺はずっと後悔している。
月子が勇気持って告った男目線の薄紅さんと月子がバディ組んだあとの小話。