「私が君との手合わせに勝ったら付き合ってください!」
神桜にそう言われ俺は「やだ」と即答した。断ると面白い具合に表情が変わる。
「だってお前可愛くねぇしどっちかって言うとブスじゃん」
正直そう思ってない。ただ誂った。だけどその言葉に俺は後悔する。
久々に道場に訪れるとそこには神桜が居たが眠っていた。近くに行っても起きる気配なし。今ならあの時の謝罪が出来るかもしれない…そう思って垂れ下がってる髪に触れようとしたその瞬間、冷たい冷気に思わず手を引っ込めた。
「貴様、俺の主に何をしている」
気配もなしに突然現れた。顔を見ようにも逆光で顔が隠れている。声と顔は見えないがシルエットで美男子だろうと言う想像はつく。
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