まんなかナントカ 携帯電話の画面をこちらへ向けてきた鯉登は、パァッと音がしそうなほどの笑顔をしていた。
「見ろッ、月島!」
「見えません」
ぶつける気か、と思うほど近くに持ってこられては見たくとも見えない。
「近すぎます……俺でなかったらとっくに鼻に当たってますよ」
「自虐か月島ァ!」
「で、なんなんですか」
そうだった、と携帯をやや月島の顔から離し、鯉登は画面の中心を指差した。
「これ! 読んでみろ」
「はいはい……えー……」
指し示された一文にはこうあった。
『鯉登と月島のまんなかバースデーは8月12日❤』
ファンシーな色と書体でもって書かれたその文章の意味が、俄には理解できず、月島は眉をひそめた。
「まんなかばーすでー……?」
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