龍ダイ小話1「あ“~疲れた…」
自宅の居間に突っ伏すように寝転ぶ。
お祓いの仕事が完了し、今まさに帰宅したところだ。
外もすっかり暮れており、だいぶ時間が掛かってしまったことが分かる。
「うー…もうすぐで龍之介が帰ってくるし、急いで夕食作らないと…」
頭ではそう分かっているものの、体のだるさと疲労から来る眠気が少しずつ瞼を重くする。
このままでは夕食作り・その他の家事がままならないかもしれない。
…こうなったら、少しだけ仮眠を取ることにするか。
「5…いや、10分だけ寝てから始めよ…」
そう独り言を呟き、眼鏡を近くのちゃぶ台上に置き、暫しの間夢の中へ旅立った。
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「ただいま~」
職務を終え、神社の敷地内にある自宅に帰り着く龍之介。
帰ってきたことをそれなりの声量で告げるが、一向に返事が無い。
変に感じながらも家に上がり居間へと向かう。
「ダイキー、帰ったぞ~…ってうわっ」
襖を開けると、居間の真ん中で体を丸めて眠るダイキがそこにいた。
心配になって駆け寄るが、特に体調が悪そうという訳でもなさそうでホッと胸を撫でおろす。
そういえば、今日は午後からお祓いの依頼があると言っていたな。
きっと疲れて眠ってしまったのだろう。
「お疲れ様、ダイキ」
そう言ってスヤスヤと眠るダイキの頭を優しく頭を撫でる。
すると、もそもそと身をよじらせ、ぶるりと体を少し震わせた。
春に近づいたとはいえまだ冬の寒さが残るこの時期、しかも夕方、寒く感じたのだろう。
そう考え、居間の隣の寝室からもこもことした毛布を一枚持ってくる。
それをダイキの体全体をそして包むように掛け、余った部分に自分が入るよう寝そべる。
そして、ダイキの背中側から密着するように抱き寄せる。
触れ合う部分から感じる温もりがとても心地よく感じる。
「ダイキは温かいな。湯たんぽみたいだ」
こう言ったら本人は怒るだろうか。
そんなことを思いながら自分も目を瞑り、夢の世界に入っていく。
「夢の中でもダイキと一緒に居れたらどれだけ幸せだろうな…」
啓蟄の夕刻、二人の青年らは身を寄せ合ってすやすやと幸せそうに眠り続けた。
2時間後、先に起きたダイキが己の状態を理解して驚くのはまた別の話。