高校を卒業してよかったのは、夜十時過ぎに外へ出ても補導されないこと。酔った相方からの鬼電はちょっとめんどーだけど、こんなことに付き合ってやれるのも俺だけだよな、と環は浮かれつつ居酒屋へと向かう。店に入ると金曜の夜というのもあってかなり賑わっている。店員にラビチャで聞き出した個室の名前を伝えて案内してもらう。ここの居酒屋の個室は和室らしい。大和と三月、そして壮五の三人が入っているはずなのに、障子越しに二人分の影しか見えないのを不思議に思いつつ、襖に手にかけた。
「で、どうなのソウ。タマとの夜って」
「は?」
「んー、たーくんはねえ、すっごく気持ちよくしてくれてえ」
「まてまてまて!!」
個室の襖を開けた途端、とんでもない会話が耳に飛び込んできた。環の大声に気づいた二人がこちらを向く。
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