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    エビち

    @NJzhJA4d9Yvjbpq

    アナログしか描けない!

    雑食で何でも食います。
    夢、BL、GL、公式カプなど全てが食い物。
    今は主にデジモン中心に投稿。夢ばかり。

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    エビち

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    privatter+で投稿していたのを移行したもの。
    オリ主(not琴葉)でデジフロの成長期ルーチェモンとの話。古代に出会った設定。

    成長期のルーチェモン夢(デジフロver) 日々争いが絶えない世界。そんな日常の一日に、ボクは"お姉さん"と出会った。



    「いてて…」
     人型と動物型デジモンは仲が悪い。今日は運悪く、動物型デジモンに襲われて怪我をした。ボク、何もしてないのに。
    「こんな世界、無くなっちゃえばいいのに」
     人気のない森の中、木下にうずくまって嫌味を零す。そんな時、がさがさって葉が大きく揺れる音がして、ドスンとボクの前に何かが落ちてきた。
    「だ、だれ?!」
     びっくりして立ち上がる。立ち上がった瞬間痛い体が悲鳴を上げたけど、また動物型デジモンだったらボクはデリートされてしまうかもしれない。それはやだ!
    「うう、イテテテテ」
     腰を擦りながらゆっくりと起き上がったのは、人型のデジモンだった。でも、よく見るとデジモンらしさはなくて、どっちかって言うと…。
    「に、人間?」
     初めてみた、人間だ。黒い髪をポニーテールにして、素顔を晒してる。大きな風が吹いたら下着が見えちゃうような、見たことない服を着てた。たぶん、スカートってやつ。ボクはこんなデジモン見たことない。
    「何なの、急に…。マンホールにでも落ちちゃったワケ…?」
     人間は自分が落下して来た原因が分からないみたい。辺りを見渡して、森であることに気づくと顔色を悪くした。
    「なんで、森の中になんか。私、下校中だったのに」
    「ね、ねえ」
    「!」
     人間はボクが呼びかけるとようやく気がついた。
    「誰…天使?」
     私、死んでしまったの?と顔色を更に悪くする。真っ青レベルだ。
     確かにボクは天使デジモンだけど、人間を攫うような力は持ってない。
    「違うよ。ボクはルーチェモン。君は、人間だよね。どうしてここに?」
    「る、ルーチェモン?」
    「うん。ボクはデジモン」
     人間はボクらのことを知らないみたいで、ここの事を教えてあげたら、少し落ち着いてきたみたい。ほっとした溜息を吐いて、その場に座った。
     ボクも同じように隣に座ったら、怪我をしている事に気がついたみたい。凄い慌ててる。
    「大丈夫だよ。デリートするまでの傷じゃないから。…本当は嫌だけど、でもこの世界は争いばかりだから…」
     人間は戦争のことを知らない。その事についても話してあげたら、悲しそうな顔をした。君は関係ないのに。
    「確かに、見た目が違うと価値観とかも違うのかなって思っちゃうけど、同じ言葉を話すんでしょ? 私たちの世界では、今は言語が違っても互いを傷つけあったりなんかもうしないよ。君たちは、互いのことを知らなさ過ぎるんじゃないかな?」
     人間の言葉に、ボクは衝撃を受けた。確かに、今まで動物型デジモンは野蛮で知性がないって偏見があった。だから対立して当たり前なんだって。どうして気が付かなかったんだろう!
    「そうかもしれない。ボク、デジモンたちのこと、何も知らないもん」
    「じゃあ、そこから始めてみればいいよ。行動を観察するだけで、何か気がつくかも。更に勇気を出して話しかけてみれば、意外と良い奴だって分かるよ」
    「人間って、凄いね。ボク、関心しちゃった」
    「ちょっと、人間って言うの止めてよ。私はちゃんと○○って名前があるんだから」
    「○○…お姉さん?」
    「お姉さん? ふふ、何だかいい気分」
     ボクは名前で呼ぶのが少し気恥ずかしくって、お姉さんって呼んだら相手は嬉しそうだった。だから、ボクはお姉さんと呼ぶことにした。
     お姉さんとの話は有意義で、とても勉強になったし、楽しかった。あっという間に日が降りてしまうほどに。
     そうしたら、お姉さんの体が薄くなっていくのに気がついたんだ。
    「お、お姉さん! 体が…!」
    「え?」
     お姉さんは自分の体を見て、薄くなっている事に気がついたけれど、ボクよりも反応が弱かった。何かを悟っているかのように。
    「たぶん、私戻れるんじゃないかな」
    「え…。お姉さん、かえっちゃうの?」
    「そりゃあ、私はここの世界の住人じゃないし。なんでここの世界に来ちゃったのかは分からないけど…。うん、もしかしたら、君と会う為だったのかも、なんて」
     恥ずかしそうに笑うお姉さんに、ボクはコアをギュッと締め付けられる感覚がした。
    「行かないでよ。ボクと一緒にこの世界を変えようよ」
    「…それはたぶん、君の役目なんじゃないかな。天使のように、この世界のデジモンたちを導いてあげなよ 」
     約束と、小指を立てる。指切りというらしい。歌詞は恐ろしいけど、ちょっとコアが暖かくなった。
    「絶対、この世界を変える。変えるから…。その時は、お姉さんに見ててほしいな」
    「じゃあ、この世界が安定したら、また私をここに呼んでよ。それか、君が私の世界にやってきて、教えてよ。きっと私がここに来れたんだから、君たちもこっちに来れるはずだから」
     お姉さんはそれを伝えると、完全に姿が消えてしまった。本当に、帰ってしまった。
     ボク、やってみる。だってボクは天使で、皆を導く力があるんだ。
     待ってて、お姉さん。



    -----------------------------



     どうして!
    「私に逆らうというのか!」
     デジモンたちが、私を睨む。
     私は天使だ。皆を導く存在だ。私がこの世界に秩序を創り、皆をまとめあげた天使だ。
     何故、私を拒む。背に生えた白と黒の翼が折れる。十闘士だと? 私に逆らうのは。私は、彼女との約束を果たすためにここまでやってきたと言うのに! おのれおのれおのれ。許さぬ。何度でも私はこの世界を手に入れる。そして人間界に降り、彼女に伝えるのだ!
    「世界が一つになったと!」



    ----------------------------



     また負けた。今度は、人間の子供たちに…! 何故だ、何故そこに貴方はいない。私が、ボクが会いたかったのは貴方なのに。だから人間の世界に行きたかった。でも奴らがそうはさせない。
     痛い、痛い。ボクはただ、お姉さんと約束を果たしたくて。もう一度、お姉さんと話がしたくて。お姉さんと、お姉さん…!
    「あいたいよ…」



     世界が騒がしい。白い羽が宙を舞っている。舞う宙に見えるのは、沢山の建物と人々。ここは…?
    「ルーチェモン…?」
     会いたかった人の声が聞こえた気がした。
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