花言葉に寄せて「なぁ、ドラルク。これはなんの花をかたどってあるんだ?」
目の前の大皿に山と盛られたアイシングクッキーの絵柄をしげしげと眺めながら、ヒナイチはクッキーの作り手である吸血鬼にそう尋ねた。問いを受けたドラルクも、そんな彼女を微笑ましく眺めながら返事をする。
「ハナミズキだよ、ヒナイチくん」
「ふぅん……」
自分から尋ねておきながら、既にヒナイチの関心はクッキーそのものに移っているようで「いただきます」と手を合わせてさっそくひとつ口に放り込んでいる。
「ん~! 今日のクッキーもとってもおいしいぞ、ドラルク!」
「うふふ、それはよかった。お褒めに預かり光栄だよ」
(今日もまた、私の想いに気づいてもらえなかったのは少々残念だけれどね……)
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