早くしろ(キスを)「我が王が愛しくて仕方ないんだ」
と言う、先に王の従者となったフィンの言葉に、同じフィンであり別のフィンでもある分霊の彼はイラ…と眉間に皺を寄せた。
何度も世界を廻る王に分霊の彼もフィンと同じく仕えるべき王の器を感じ、モトアサクサの丘で対峙したのだが先にフィンが従者となっていたため「そいつのことをよろしくお願いします」と告げ身を引こうとしたのだが、去り際に王に手を取られ
「お前も一緒に行こう」
と、何とフィンと分霊フィンの幻魔フィン・マックール二人を従者にする事に決めたのだ。最初こそ戸惑っていた分霊だが王が求めるならそれもいいかと、その提案に動揺していたフィンと違い楽観的に捉えその手を握り返したのはもう世界を二つ巡る前の事である。
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