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    Eureka_eureka__

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    露康

    ひとくち運命論 最近頓に、『来世』なるものについて考えることがある。或いは運命というべきか、ぼくにとってそれは何を指しているのか。
    「きみはどう思うかね、康一くん」
     年下の親友は漫画から目を上げると(最新刊だ、勿論ぼくの)、何か珍しいものでも見るかのようにぼくを頭の先からつま先までじっくりと眺めた。
    「先生ってそういうの結構持ち出しますよね。あんなにリアルを求めてるのに、あんまり現実主義って感じじゃあないというか」
    「現実主義者の言う『現実』ってやつは選別されてるからな、ああいった手合いはたとえ怪異が実在していても、そんなもの存在していないかのように振る舞うじゃあないか」
     で、きみはどう思うんだい。口をつけた紅茶はすでにぬるくなっている。納得したのかしていないのか、ふうん、と呟いた康一くんは、半分ほどまで読んだピンクダークの少年をぱたりと閉じると膝に置いた。
    「うーん、運命って言ったら運命かもしれないし、偶然って言ったら偶然かもしれないですね。先生と会ったのだって間田さんが誘ってくれたからですし……」
    「はあ?」
     ぽりぽりと頬を掻く彼があんまりにも意味のわからないことを言い出すものだから、つい素っ頓狂な声をあげてしまった。康一くんは案の定かなり驚いた顔をしているが、そんな顔をしたいのはこっちの方だ。
    「あのなあ〜〜〜、康一くん! 分かっちゃあいないようだから言ってやるが、ぼくが確信を持ってこれは運命だって言えるもののうちの一つなんだぜ、きみとの出会いってやつは。いいか、運命ってやつは大概結末を決めてる、運命が決めたその結末に合う人間にぼくがなるためには、きみの存在は必要不可欠なんだ。つまり、きみはぼくの運命ってわけだ。きみがもしこの出会いを運命に感じていないなら、それはぼくの運命だからだな」
    「なんですかそれ〜〜〜!」
     そう言ったきりソファに沈み込んでしまった康一くんの顔を隠すように掲げられた単行本の、表紙を飾る主人公と目が合う。やあ、きみのカラーのインスピレーションの元は康一くんだったな。ちょっとそこ、退いてくれないか。
    「なあ康一くん、このぼくの意見を踏まえて、きみはどう答える?」
     案外すんなりと下ろされた本の影にあった彼の頬は仄かに紅潮していた。
    「えっと、ら、来世でもよろしくお願いします?」
    「さすが康一くん、模範解答だ」

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