月に微睡む「はあ…」
丹恒は作業の手を止め、デスクの端に追いやられていた端末を手に取る。時刻を確認すると朝と呼ぶにはほど遠い時間であった。
眠りたくない、という訳ではないが、今日は布団に入って目を閉じても一向に眠ることが出来なかった。眠れないのであれば眠くなるまで手を動かしていようと思い、アーカイブへの記録作業を行っていたが、それも全て済んでしまった。
それでも依然として眠気は訪れておらず、丹恒はどうしたものかと考えを巡らせる。一番初めに浮かんだものは読書をする事だったが、手元にある本は全て読み終えてしまっている。では外出でもしてみようか?それも次の星を目指して宇宙を走っている最中の為叶わない。そもそも、車掌が夜間の外出を許可しないだろう。
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