めくるめくめぐる 瑶光の浜、その波間の拠点でヒルチャールが動いているのを粒子に返した彼は、石突でとんと波上の足場を打つ。ふっとその場から姿を消して、次の瞬間には波打ち寄せる砂上にいた。ヒルチャール達がなぜあのような場所にいるのか彼には全く理解できない。戦いの場において自らが窮地を招くかもしれない位置に進んで陣取る必要はない。それすら上回る力でもって敵を捩じ伏せられるというのであれば話は別だけれど。
白く美しい珠の輝きで日光を跳ね除ける砂を踏みしめて歩く。潮騒が耳奥で揺れ、眩しい昼の光が視界を鈍く撓ませる。寄せる波に攫われてきたのか、不意にこつんとつま先に当たったわずかな感触をなぜか無視することができなくて腰をかがめる。彼の拳より二回り小さいほどの、それは巻き貝だった。それで、ふと彼が思い出したことがある。
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