この視界とも二十年の付き合いで、普段はあまり隻眼での不自由は感じない。免許の更新だとか、それに関わる書類事。あとは、バッターボックスに立った時だとか、両目でなくてはならない事、と世間で決められているとなればちょくちょく困ることはある。
だが最近片目で困る時、というのが出てきた。目にゴミが入った時だ。そんな事、と笑う莫れ。季節性の花粉や黄砂が原因で目を掻いてしまった時は最悪である。おそらく今回も睫毛が目に入ってしまったのだと思うが、鏡を見てとろうとしても、瞼を指であげると視界が滲む。単焦点の困りどころだった。
「………。」
涙袋の周りを指でなぞってみても取れなくて、むぅ、と唸る。チクチクとする感覚はあるが、どこにゴミが入っているか、それとも何か出来物でもあるのかも分からなかった。瞼をこする。
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