一般人にさせてくれ
拾って貰った立場にとやかく言う権利がある筈はないのだが、正直言って軽トラの荷台に腰掛けた瞬間、まずいな、と思った。
『Puts it is Oh my God Rukawa, He has no hesitation 』
ラジオ越しの粗い歓声と共に、興奮し切った実況者の声が春浅い陽射しの中に吸い込まれていく。
後から考えてみれば、ルームミラーにバスケットボールを模したキーホルダーが掛けてあった時点で運転手が少なからずバスケファンである事は容易に想像出来たのだけれど。
微かに緑の匂いを孕んだ春風の中、仙道は一個下の生意気な後輩の姿を瞼の裏に映し出していた。
急に身が落ち込んで行くような眩暈に襲われた途端、仙道は軽い脳震盪を起こして倒れた、らしい。
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