始まりの青 乾いた青空を背景に、その男は立っていた。
頬を撫でる風、肺を満たす空気、踏みしめる土。全てが熱く、いまにも火を熾すかのように思われる。乾き切った灼熱の情景の中で、仁王立ちの男の佇まいだけが、どこか冷え冷えとして感じられた。おそらく、このひどく大柄な男の淡い青の双眸、射抜くような強い眼差しが、冴えた冷たさをたたえているからだろう。
氷のような視線の先には、これまた大柄な青年が立ち尽くしていた。彼も上背があり、相対する男を凌ぐくらいだが、困惑したようなまなじりは下がり気味で、少し優しげだった。
「……おい」
じっと青年を見やった後、男がふいに口を開く。
「お前……ジム、で間違いないよな」
「ああ。ミック、だよな。どうも」
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