これからを共に「オーバーフロウの特効薬の必要性は分かるし、実際直近であんなこともあった。薬の性能自体もまあ、期待していいとは思う。でもやっぱり、その研究を独断で薦めて倫理を無視してた人が、今のうのうと元の椅子に収まってるのは気に入らないんだよ」
「追放したらしたで、技術が外に漏れるだろ。それこそ、イクリプスにでも渡ったら面倒じゃないか」
「そうだけど。降格でもすればいいのに、元々、あの人何考えてるか分かんないしさ、今講師してたり雰囲気が柔らかくなったなんて言われてるのもなんか、気味が悪い」
ヴィクターがその会話を聞いてしまったのは偶然だった。
講習を終え、講義で使った資料を保管庫に戻しに行く途中だった。
盗み聞くつもりはもちろんなかったが、会議室の扉が僅かに開いていて、中の声が漏れていて思わず足が止まった。
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