つよさの証気がついたら体が勝手に動いた。
俺は子犬を庇うように不良2人組の前に飛び出していった。
学校からの帰り道、「くーん」という弱々しい鳴き声が耳に入った。
声が聞こえた方を振り返ると小さな子犬が一匹、ぷるぷる震えながら地面に座り込んでいる。
そして、その子犬に石をぶつける高校生の男が2人。
極端に着崩した制服に派手な髪、意地の悪い顔。
いかにも不良という出立ちだった。
「へへっ……ビビってやがるぜ、このワン公!」
「ほんっとよえーよな。マジうける」
下品な笑い声とともに地面の石を拾っては子犬に投げつけていた。
(あいつら……っ!)
最悪だ。抵抗できない弱い奴を選んでいじめるなんて。
俺は奥歯をぎりっと噛み締め、不良の背中を睨み付ける。
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