わざとらしい呻き声をBGMに作ったお粥は美味しいんだろうか? 鍋をかき混ぜながら考える。別に私が食べるんじゃないし良いけど。
仮にも恋人である男が寝込んでいるのにこんな事を思うのは少々不人情がすぎるかもしれない。でも折角の休日にのんびりしていた所を無理やり上がり込まれたら甲斐甲斐しく看病する気も起きない。自由業の冒険者と違って私の休みは貴重だということをわかって欲しい。
そもそも普段は冒険から帰るたびに今回は何処の骨が折れただの、血を吐いて危うく死にかけただのとそれはそれは楽しそうに語る男がちょっと熱出したくらいで…
「なぁ~! なぁって~!!」
「うるさ……」
ああ、大きな子猫が鳴いている。考え事を遮る大声に火を止め、声の主の元に走る。
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