カーナビより気まぐれで日差しが容赦なく照りつけて、ジリジリ焼かれている気がする。
助手席でぐでーっと背もたれに体重預けながら、ため息をついた。
エアコンガンガンにしてーと口にすると、運転席の男はハンドルを握ったままチラリと目をやる。
「これが最大。」
その言葉にまた大きなため息をついた。茹でダコになりそうだ。アイス〜…ジュース〜……と念仏のように唱える。
「そうだねぇ 水分補給したいねー」
返事だけはまともだが、明らかに聞き流されてるトーン。
それもこれも、わざわざこんな炎天下の中、出かけるような気温じゃないってのに、この男――スズキ ユウダイは、なぜか朝から「ドライブ行こう」なんて言い出したからだ。
そのまま流されるまま乗ってきてしまった。別にどこか目的地があるわけでもなさそうで、音楽も適当に垂れ流してるだけ。
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