行く先はまだどこか生暖かい、ずっしりと重い荷物を抱え暗い森の中を、ライトの光で照らしながら慎重に進む。
今、誰にも見つかりたくない。見つかる訳には行かない。辺りを見渡す
幸いにも周囲には人どころか獣1匹すらも居ないようだ。つい、ホッと安堵の息をついてしまう。
そう思ったのも束の間だった。突然背後から
「あのー、すみません」
と言う声が聴こえてきた。心臓がドクンと跳ね上がる。恐る恐る後ろをライトで照らしながら振り返ると、そこには背丈の高いすらっとした男が立っていた。
「わ、眩し」
そう言いながら男は目を微かに細めている
慌ててライトを下げ
「…す、すみません」
と戸惑いながらも謝罪の言葉を口にするが、男はにっこり笑い
「いえ、こちらこそ驚かしてしまったみたいでごめんなさい。僕、道に迷ってしまって…」
4741