クリスマスの朝の話クリスマスイブに突然帰ってきた彼氏と過ごす
カーテンを開ける音、差し込む日差し、それから隣にないぬくもり。
「ベックもうおきたの?」
窓辺にいるであろう彼に声をかけた。
「あァいい。おまえさんはもう少し寝てな」
彼の低い声が眠気を誘ってくる。
「昨日は随分頑張ってもらったからな。今朝はおれに全部やらせてくれ」
言葉の前半部分は正直恥ずかしい気持ちで聞いていたが後半部分はいまいち意味を図りかねた。
全部やらせてってなんのことだろう。
「いいからもうひと眠りしてな。お姫様が起きるにはまだ早い」
この人はすぐに歯の浮くような台詞を吐くけれどそれに慣れつつのあるのだから私も大概だ。
重たい瞼をどうにか少し持ち上げてあとで起こしに来てくれるかと尋ねるともちろんだと返ってきたので「じゃあおやすみなさい」とお決まりの挨拶をしてストンとまた眠りに落ちた。
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