ずっとトウマのことが好きで影で見てるけどこの気持ちだけは死んでも隠し通すと決めている。
トウマは自分の人生を変えてくれた。何も言えず立ち止まっていた俺に手を差し伸べてくれた大切な"仲間"
この一線だけは絶対に越えちゃいけないし越えたくない
トウマに迷惑をかけたくない
その一心でずっとずっと隠し通してきた
もちろんこの気持ちは誰にも伝えてないし伝える気もない
でも好きである以上やっぱり欲は出てしまう
トウマが女と話してると気になるし2人で遊びに行った話を聞くと気が狂いそうになる
昔はそこまで傷つくことはなかったしトウマは人から好かれるから気にしてなかったが最近は
昔からのダメージが来てるのか一つ一つが心に刺さる
なんで俺はこんなに苦しんでいるのか、トウマは男だし大切な仲間だろ。こんな感情を抱くのは違う。抑えろ。静まってくれ
心のダメージは日に日に増えていくばかり
楽屋で頭を伏せる
今日は個別での仕事。龍之介と雑誌の撮影
前の仕事が終わったので早めに来た
何もしてないとずっとトウマのことばかり考えてしまう
好きで好きで、でも伝えられなくて辛くて
「どうしたら良いんだ」
1人楽屋で静かに涙を流す
そこにトントンと楽屋にノック音が聞こえる
「虎於くん、いるかな?」
龍之介の声だ
完全に油断してたので涙でびしょびしょの顔
見られるわけにはいかない
まぁそのまま放置してれば帰るだろ
そう思っていたが
「ごめんね。入るね。」
そういってガチャリと入ってきた
「待て龍之介!」
その声は届かぬまま開けられるドア
「どうしたの虎於くん…」
虎於の顔をみてびっくりした龍之介だったがすぐに駆けつけて楽屋にあったティッシュを渡す
「いや、なんでもない。大したことはない」
「そんなことない。涙を流すなんて何かあったはずだよ」
「いや、本当になんでもないんだ。気にしないでくれ。それよりここに来たのは挨拶か?それとも打ち合わせか?」
「虎於くん。話逸らさないで。俺じゃ頼りないかな?少しでも良いから話してくれない?」
龍之介の優しさが嬉しくてでもその優しさが今は苦しい
「俺のことはほっておいてくれ。トイレ行ってくる」
スタスタとドアの方に歩いて行く虎於を龍之介が手を引き抱きしめる
「な…!」
「虎於くんが最近元気ないのはトウマくんのことでしょ?」
「え」
「最初はそんなに気にしてなかったんだけど虎於くんずっとトウマくんのこと愛おしそうに見てるから気づいた。今日だって1人で泣いてて…本当は入る前から泣いてる声が聞こえたから気になって入っちゃった…ごめんね」
抱きしめる力を強くする龍之介
「誰も気づかなかったのになんで…?」
「それはね…俺が虎於くんのことずっと見てたからだよ」
「心変わりは俺じゃだめ?」