Spring Fest!「センパイ!ふわふわたくさん!」
「シャボン玉。」
「しゃぼんだま!」
キミはそう言うとシャボン玉を握り潰したり食べようとしたりする。
「センパイ!コレもらった!」
「良かったな。」
「うん!ピンク!」
キミはフェスで配布されるおもちゃの眼鏡を嬉しそうに頭に乗せる。
「センパイも!」
「いや、俺は……あ、ありがとう。」
「うん!」
帽子を取られ、キミにお揃いのおもちゃの眼鏡を乗せられる。
「センパイ!バトル行く!」
「あぁ、行こうか。」
「みて!ピンク!」
キミはロビーでフェスでしか使えないインクを見てキャッキャと嬉しそうに試し撃ちをしている。
「いっぱいコロスー!」
「あまりそう言う言葉はヒトに言っちゃダメだ。」
「?」
「倒すって言うんだ。」
「いっぱいたおすー!」
キミは試合が始まると真っ先に飛び出して直ぐに見えない所に行ってしまう。
「センパイ!ピンクいっぱい!!」
街に出るとキミは嬉しそうに街に溢れる装飾を指さす。
あぁ、今日でフェスは終わってしまう。
フェスが終わればまた俺は試合には出れなくなってしまう。
誰かとフェスに参加するのは初めてでは無い。
でもいつもフェスが終わる頃には相手は寂しそうな顔をする。
それにいつも申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。
この時間がずっと続けば良いのに、何故フェスは2日間だけなのだろう。
「センパイ!バイトに”?”あるよ!」
「……。」
「バイト行こ!」
「……フフ、行こうか?」
「うん!」
「インク色変える前に写真撮ってもいいか?」
「うん!撮るのピンクのところがいい!」
「分かった。此処はどうだろう?」
「うん!」
今回のフェスでしか見れないモニュメントの前で2人で写真を撮る。
「バイト!」
「あぁ…分かってる。」
キミに手を引かれいつもの商会に向かう。
「ヒメ、また一緒にフェス参加してくれるか?」
「うん!ピンクの時ね!」
「フフ……分かった。」
ヘリの中から賑やかなお祭り騒ぎの街を見下ろす。
次のフェスにはピンクはあるだろうか?
発表が待ち遠しい。
「クマ武器出るかな?」
「ワイパー出るといいね。」
「うん!」
花火に照らされてキミの笑顔が浮かぶ。
ヘリにはキミと、街を見下ろし舌打ちする者と、街に見向きもせずずっと下を向いてブツブツと言っている者。
そうだ、フェスの時にバイトするヤツはガチ勢と言われるような奴等しかいない。
失敗すると色々と面倒な奴等も多い。
せっかく今は気分がいいのに台無しにはしたくない。
もう一度バイトの装備を確認する。
さぁ、バイトの時間だ。
-END-