殺し屋達の茶番劇ドンドンドンッ
拳銃が唸るのに顔色も変えずターゲットへと距離を詰める。袋小路の壁を背にした男は肩で息をしながら必死に銃口を向けて引き金を引いたが、それはカチッカチッと頼りなく音を出すに過ぎない玩具に成り下がっていた。
速度を落としたアサシンは鼻で笑った。きっといくら弾が入っていたって当てられやしない。
男はもう成す術が無い。震える膝でなんとか立ち情けなく口を戦慄かせながら迫る悪魔の姿を見るしかなかった。
だから、気付いてしまった。フードの奥で首元に鎮座するそれに。
ふ、と男が気が抜けたように笑う。
「"kneel"!!」
ひく、とアサシンの肩が跳ねた。
それはそれは勝ち誇ったような顔であった。それもそうだ。あの首にあるのはcollar、特定の相手を持つsubの証の首輪。subはdomのcommandに従ってしまうもの。それが相手を威圧するglareを意図的に込めて発したものなら尚更。言葉ひとつでsubを支配できる。それがdomだから。
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